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Knight's & Magic & Carrier 5
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やっぱり壊れてた!!それどころか、私を突き動かす思いが何なのかすら分からない!!私は、一体何なの!!教えて、トール。私は何なの?」

「なんだ、見えてなかったのか。答えは既にあるんだがな。簡単だ。義務とはいえ、民を守ろうとし、そのために身も心も摩耗させ、時に迷い、それでも周囲の力を借りて立ち上がる。人それを勇者(都合の良い駒)と言う」

「ひどい言い方ですね。勇者(都合の良い駒)として生きろと?」

「なに、勇者(都合の良い駒)からランクアップすればいいだけだ。ランクアップ先は勇者王(国の奴隷)だろうがな。勇者王(国の奴隷)は良いぞぅ、民に必要な分のリソースを回して余った分は好き放題だからな。何処ぞの嵐を呼ぶ快男児みたいに趣味で平和を守るのもよしだ」

「あれを趣味といいますか」

「本業は鉄道会社の社長だろう?」

「確かにそうでしょうが」

「それにな、あれはあれで良いんだ。自由の象徴でもある。法に縛られず、自分の信じる道を走り抜ける。大人になって世の中の暗い所を見て汚れきったオレたちにはたどり着けない局地だ。辿り着くことは出来ないだろうけど、だからといって諦める理由にはならない。贋作が本物に劣る理由もなし。お前だけの勇者を目指せばいい」

「私だけの勇者」

「嵐を呼ぶ快男児か、はたまた悪名轟く鬼リーダーか、それとも世界の半分を条件に魔王の命乞いを聞く勇者か」

「最後のはどうなんでしょう?」

「勇者とは勇気ある者。そして真の勇気とは打算なき物。相手の強さで出したり引っ込めたりするのは本当の勇気じゃない。50Gとひのきの棒とたいまつしかよこさない王と国のために世界を救うなんて考えられないだろう。世界の半分ぐらい貰ってもいいじゃないか。結局ラダトームから追い出されて新大陸に移り住んでるし」

「それはそうでしょうけど」

「まっ、どんな未来でも悔いだけは残さないようにな。旧体制が滅んでる状態だ。いくらでも好きにできるはずだ。やれるだけやればいい。背中を押した以上、しっかりケツは持ってやる」

「女性に対してケツを持つなんて、変態ですね」

「はっはっは、ぴくりともせんわ」

別にいいんだが、ちょっとさみしい。息子よ、目を覚ましてくれ。

「だけど、勇者ですか。なるほど、勇者。勇者。これほどぴったりと合うパーツを見失っていたなんて」

おかしそうにエレオノーラが笑い出す。子供がなくしたと思っていたおもちゃを見つけた時のような笑顔をで笑い出す。たぶん、幼少期には憧れていたのに、周りから女の子らしくないと言われ続けて抑圧されていたのだろう。それを全肯定されたことで開放されたか。

「ありがとうございます、トール。そう、私はヒーローに、勇者に憧れていた。そんなことも忘れていた
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