Knight's & Magic & Carrier 5
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槍だな。突進力でなんとかするしかない。反動でこっちの腕もモゲましたでは話にならない。そんな感じに徹夜で設計を続ける。
「はて、いつの間にトールギスFになったんだ?」
おかしい、最初はカルディトーレだったはずの設計図がいつの間にかトールギスFみたいなことになっていた。とりあえずトサカを付けてっと。さて、新しい紙は、残っていないな。仕方ない、街に買いに出るか。オレの求める品質の紙があれば良いんだけどな。製紙に手を出したほうが良いような気にもなっているが、後回しだ。
一応騎士服に着替えて財布を懐に突っ込んでヴィンゴールヴの私室から街に向かう。ヴィンゴールヴから出たところで上に気配を感じて後ろに飛びながらナイフ形の魔術媒体を構える。そこに居たのは髪を結い上げて騎士服を着たエレオノーラだった。
「何をやっているんだ」
「いえ、少し街に出ようと思いまして。イサドラはうるさいので出し抜いて来ました」
「まあ、戦時中に最後の王族が街に行こうなんて国が滅びるからな。間違ってはいない。だが、今それをする必要があるからこそ外に出てきた。それで間違いないな」
「そう。どうしても確認しなければならないことがあったから」
「そうか。まあ、護衛が一人もいないのは問題しかないからオレも付いて行くぞ」
「トールなら問題ないですよ。それじゃあ、行きましょう」
そう言ってエレオノーラと街へ出かけたのだが、何処か目的地があるわけでもなく、ブラブラと街を歩きながら、買い食いをしたり、迷子の子供の母親を探したり、密偵を捕縛したり、そんなことで一日が過ぎ去っていく。途中から目的は分かったからこそ何も言わずにそれに付き合っていたのだが、それも地平線に沈みゆく太陽と共に終わりを告げる。
最後にと、街を一望できる鹵獲した空に係留している空中空母の甲板に向かう。エレオノーラは安全手すりを握りながら街を見下ろしている。
「今日は何も聞かずに付き合っていただいてありがとうございます」
「別に急ぎの仕事はないから問題ないさ。で、決心は着いたのか?」
「そうですね。私は、あの時義務感で戦っていました。王族だから、ただそれだけで力を奮っていました。義務感で全力なんて出せない。身体以上に、心が付いて来ない。それがあの結果。異常なまでの興奮からの虚脱。私には覚悟が何もなかった。人を殺してでも成しえたい何かがなかった。私が信じる私が信じられなかった。だから、私が信じる誰かを、亡き先王を、父を信じてみようと」
「それで街中を見て回ったと」
「ええ、父が愛したものを、守りたいものを感じてみたかったんです」
「どうだった?」
「普通のそれっぽい演技ができる程度にしか、それだけしか感じなかったの。壊れてた、私も
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