純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 1
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に一方的な糾弾で気晴らしする能無しではないつもりよ。私はまだ、一番知らなきゃいけない核心部分を把握してないの。だから、今。ここで。助けを求めてきただけの貴方達を突き回して遊ぶつもりは、毛頭無いわ」
「っ!」
腰を屈めて顔を覗き込んでくるプリシラの言葉に息を呑む。
私が知る普段の振る舞いのせいで失念していたが、彼女は聖職者だ。
助けを求める者には、どこまでも寛大な女性。
対する私の、なんと礼に欠いた言動か。
貴女は協力の見返りとして相手を弄ぶ人種だった筈では……などと。
本人を前にして、なんたる侮辱。
「すみま」
「まあでも、そんなに期待してたんなら、放置するのも可哀想だし。収拾の目処がついた後でじっくりたっぷり、心が砕けるまで遊んであげるわね?」
「すみませんすみませんすみません本当にすみません、失言でした。心よりお詫び申し上げると共に遊びのほうは謹んでお断りさせていただきたく」
「クーローちゃーん?」
背中が反り気味な私の前頭部に、プリシラの唇が軽く触れる。
「は…… い? …………え?」
きょとんとする私の前で、彼女は
「お帰りなさい」
何年経っても変わらない、無邪気そのものな笑顔を披露してくれた。
友人だ、と言ってしつこく構い倒してくれたあの頃と寸分違わぬ笑顔を。
「…………ただいま、戻りました」
私が、ほんのり苦味を混ぜた笑顔を返すと。
プリシラは目を細めて頷いた。
そして上体を起こし、早く行けとばかりに隣室への隠し扉を指し示す。
「後で、お話します。今度こそ包み隠さず、私が経験してきた一部始終を」
ロザリアを落としてしまわないよう、ゆっくりと、慎重に立ち上がり。
敬愛すべき元上司に、軽く頭を下げる。
「ええ。ちゃんと待っているわよ、臆病者さん」
ひらひらと手を振って見送る彼女を背に、再度苦笑いが込み上げる。
この世界の女性がたくましいのは、『貴女』の影響でしょうかね?
エルネクト。
「今更、知られて嫌われるのが怖かった……なんて。自分が一番驚きです」
「はい?」
私の呟きを拾ったミートリッテさんが、小首を傾げて私を見上げる。
「いえ、なんでもありません」
罰を与えられることに甘えようとしていた自分。
良くない何かを察していても、変わらない関係を示唆してくれた友人。
私は本当に、溺愛されすぎている。
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