純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 1
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した面持ちの殿下が、死んだ魚の目でプリシラを見上げる。
プリシラは瞬時に笑顔を引っ込め、鋭い声音で本題を切り出した。
「人員整理」
「アリア信仰の神父ソレスタ。元神父のクロスツェル。女騎士のフィレス。エルフのリーシェ。元魔王のレゾネクト。アリア信仰が主神アリアであり、人間としての別人格も持つロザリア。以上、男性三名・女性四名。計七名」
「はいっ??」
ミートリッテ第一補佐と呼ばれた女性が驚きで声を上げ。
プリシラの一瞥で、慌てて口元を押さえる。
……事情を知らない人間なら、そういう反応ですよね。ええ。
プリシラの落ち着きようが異常なだけで。
「目的整理」
「女神アリアを含む人外生物の存在と、その行動を秘匿する為の協力要請」
淡々と現状把握に努めるプリシラ。
対する殿下も、淡々と答えていく。
同じ要領で質疑応答を何度かくり返した後。
目蓋を閉じたプリシラが、天井を仰いでため息を吐いた。
「要するに。貴方が東区で救えなかったと言っていた少女の正体が、まさに今、貴方の腕の中で眠っておられる御方なのね? クロスツェル」
「はい」
プリシラにはまだ、べゼドラと契約した私の愚行と罪を明かしていない。
神父だった私のかつての信仰心と行動、ロザリアの容姿や色彩などから、彼女なりにいろいろ推測したようだ。
正座してもロザリアを抱えたまま、膝にすら降ろそうとしない私を見て、そう判断しただけかも知れないが。
「はあ……。追跡できなくなった時点で、なにかあるとは思っていたけど。まさか本当に、アリア様が顕現されていただなんてね。貴方がロザリア様を教会へ招いた頃に報告を上げなかったのは、どうして? 言っておくけど、アリア様だと判っていて黙っていたのなら、これも立派な職務怠慢よ」
私を見下ろす元上司の目が、ちょっと冷たい。
「ロザリアが、アリア信仰との関わりを快く思っていなかったので」
「何故?」
「預かっていた教会から姿を消すまで、ロザリアは記憶喪失だったんです。単純に、自身が持つ力を他人に利用されたくなかったのでしょう」
「…………返す言葉もないわね」
仮に、私と出会った時点で信仰の重役がロザリアの存在を掴んでいたら。
女神アリアと同じ色や力を持つロザリアは、たとえ本人にアリアとしての自覚が無くても、確実に信仰の象徴へと担ぎ上げられていた。
ロザリア自身の意思は完全に無視して、だ。
プリシラにもそれが解るから、その辺りの追及はしないらしい。
一瞬、物言いたげに複雑な表情を見せたものの。
両手を腰に当てつつ、仕方がないといった体で頷いてくれた。
「良いわ。水面下の協力を約束しましょう。政治面で
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