第2幕
ep20 統一世界
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手を探しているらしい。金儲けに使おうという魂胆だ。刹那はその男の顔写真を見て、独りでに呟いた。
「ガンダム……」
夜。刹那はビルの陰から通りの様子を監視していた。
通りでは、国連の軍人とジャーナリストーーアナー・ウガイが向き合っている。その近くに人はいない。だが、国連側には複数の戦車が陳列しており、武力が醸し出す圧力を周囲に発していた。
アナー・ウガイが身振り手振りしながら国連の人間に説明しているのが聞こえてくる。
「だ、だから俺が写真を持って歩いていれば、いずれガンダムのパイロットの方から接触してくると思ったんです!」
醜い言い訳だった。そのことは国連の軍人にも筒抜けだったようで、彼は余裕のある笑みを浮かべたまま口を開く。
「無駄な抵抗は止めてもらおう。重要事項を国連にも渡すのは、市民の義務だからね」
国連の軍人が右手をサッと上げると、後ろから銃火器を持った軍人たちが颯爽と現れ、ウガイを拘束する。喚きながら連れて行かれるウガイの後ろ姿を見て、刹那はその場を離れることにした。
結局、ウガイが持つ情報の真意は明らかにならなかった。だが、国連がフリーのジャーナリスト1人から話を聞くのに戦車まで持ち出すのはやけに大げさではないか。刹那は歩きながら思案する。
ーーあのジャーナリストは、本当にガンダムを撮ったのかもしれない。
ーーどちらにせよ、無傷では帰られないはず。
「ガンダム」
少なくとも、刹那は自分のガンダムが写っていないことは確信している。彼の機体ーーエクシアは宇宙に秘匿しているからだ。大気圏を降下するには機体の損傷は激しく、軌道エレベーターは国連に抑えられているのでリニアトレインによる輸送はできない。
つまり、ウガイの話が本当なら地上にガンダムがいることになる。
「……ガンダム」
国連は、ガンダムの再来をどう受け止めるのだろう。国連が軍備増強をより一層加速させるのは間違いない。後は、ウガイの処遇次第だ。
そして、国連の回答は翌日の夜に返されることになる。
強めの雨が、夜の街に降りしきっている。街灯の灯りは心細く、通りを見通すには効力が足りていない。
昨日と同じ通りに面する空き地は、特に灯りから離れていた。遠目から見ると、更地にゴミやら使えない機材やらが積まれているようにしか見えない。
そんな暗がりの空き地に、1人の男が大の字になって倒れていた。フリージャーナリストだった、アナー・ウガイである。
刹那は死骸の目の前で男を見つめた。犯行は国連によるものだろう。
これで刹那が狙われる危険性は大きく下がった。ガンダムの情報は外に漏れない。国連で止まることになる。
そこで、刹那は
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