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=病院編= ゲキジョウセレクト
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びだしてきて、ミッドナイトの前で転んで彼女に受け止められた。子供は「ごめんなさーい!」と悪気のない顔でとっとこ走っていってしまった。

「……とまぁ、一応俺の個性はあれ以来異常はないです。それだけに原因不明なのが怖いですけどね」
「貴方の個性、屋内に突入するときに是非一人は欲しいわねぇ。不意打ち対応は完璧って感じ?」
「限度はありますよ。自分に関わらない部分では鈍くもあります」

 平然と嘘を吐きながら、そういえば嘘を見破る個性や自白させる個性にこの手は通じないな、とちょっぴり自分の限界を自覚する。いや、自分で本当だと思い込んでいる未来予知能力とて、今回の件次第では俺自身の勘違いの可能性も浮上する。
 密かに調べたが、未来予知の個性を持つヒーローは日本にはナイトアイくらいで、そのナイトアイの能力に身体強化がある風ではなかった。デクくん調べだから間違いなかろう。

 そして、俺は予約してあった診察室に足を踏み入れる。

「どうぞ、こちらにお掛けください。……久しぶりですね、水落石くん?」
「俺、殆ど先生のこと覚えてないっすよ……逆に先生はよく覚えてましたね」
「仕事柄ね。それに君はなんというか、他の子と違った独特の雰囲気を纏っていたから記憶に強く残っていたのかもしれない」

 そこにいたのは、どうやら本当に昔俺の近くの病院にいたらしい、佐栗灰一先生だった。年齢を感じさせる皺と灰色の前髪を垂らした彼の笑顔は、柔和でありながらどこか微かな陰を感じさせる。この人確か、個性でもないのに予防注射打つのが滅茶苦茶上手かった気がする。

 検査は、見たこともない様々な機器や問診、血液検査などを交えて続いた。実際に個性を使用することになって苦心したり色々としたが、検査結果を完全に纏めるのは翌日になるとのことだった。そして、最後に問診があるということで俺はそれまでと違った個室に連れていかれた。

 ――俺はそのとき、未来を垣間見た。

 ――水色の髪の女性、夕暮れの日差し。

 ――脈絡もなく、何も起こらない、静かな、静かな光景だった。

 その光景が現れたのは、問診に使うと言った部屋の中にあるベッドの上。そこは、患者の部屋だった。意図も意味も分からず言われるがままに入った俺を椅子に座らせ、佐栗先生は語る。

「すまない。あの教師に聞かれない場所で話したかったんだ」
「………」

 背後のドアの隙間から、気にならない程度にプシュ、と微かな音がする。俺の予想が正しければ、一見してそうとは見えない防音設備だ。外にいるミッドナイトは何があっても中の音を聞き取れないし、まさか予想もしていないだろう。
 妙な流れになってきた。直ちに俺の命に別条のない事柄ではあるらしいが、この医者一体何を言い出す気なのだろう。心の隅っこで、もし
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