暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第73話「夢追・無限」
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「(生身の時から戦闘続きで、長期戦はどの道不利。なら、出し惜しみなく俺の全てをぶつけていく……!)」

「ッ……!」

     ギィイン!ギィイン!!

 秋十は長期戦は気力が持たないと判断し、四属性を宿す。
 それに応じるかのように、桜も四属性を宿す。
 
「くっ……!ぜぁっ!」

「ッ……!」

 防御の上から削られるように、秋十は押される。
 だが、四属性を宿し、二次移行も済ませた秋十もタダではやられない。
 “風”の動きで避け、“土”で受け止め、“水”で受け流し反撃。
 “火”で一撃一撃を強化する。

「ぉおおおっ!!」

「はぁあああっ!!」

 まさに一進一退。どちらも一歩も退かない攻防が続く。
 まともな一撃はどちらも入らず、SEは防御の上から削られていく。

「っつぁっ!!」

「くっ……!」

     ギィイイイン!!

 秋十の一撃に、桜は一度間合いを取る。
 ここまで戦闘が拮抗しているのは、別に実力が追いついているからではない。
 秋十は自らの経験全てを活かして防御を固め、桜はそれに対して防御を捨ててでも全力でぶつかりにいっていた。
 防御を捨てた分と、秋十の“絶対に勝つ”と言う想いと桜の“全力でぶつかる”という想い。その想いの違いが、二人の実力差を埋めていた。

「はぁああっ!」

「っ、ぜぁっ!」

 ただ、ぶつかり合う。
 自分の力の限り。自らの想いの限り。
 どちらも自由に羽ばたきたいという想いは同じ。
 だが、桜は自分たちを絶対悪とする事で世界の秩序を保とうとし、秋十はそんな桜たちを見す見す切り捨てたくないと主張した。
 どちらも正しく、どちらも間違っている。そんな思想のぶつかり合い。
 ……ただの、意地のぶつけ合いが、そこにはあった。

     ギギィイイン!!

「「ッッ……!!」」

 しかし、既に二人は周りの事など無視していた。
 ただ、“相手に勝つ”。そのために力をぶつける。
 空を翔け、ただひたすらにぶつかり合った。













   ―――最後の戦いが、終わりへと向かっていく。


















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