最終章:夢を追い続けて
第73話「夢追・無限」
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―――“二重之羅刹”
それは、言ってしまえばただの“合わせ技”。
どちらも桜が知り、そして使うことのできる技だ。
しかし、それらが合わさった事で、桜にとって未知の領域となっていた。
“羅刹”の一撃一撃が“二重”となり、桜へと襲い掛かる。
「なっ……!?」
―――“九重の羅刹”
咄嗟に桜も九連撃を繰り出す。
しかし、反射的に繰り出した程度では威力が足りず、桜は一撃だけとはいえ攻撃が直撃してしまう。
「ッ……!これは……恐ろしいな……!」
「(入った!これなら、通じる!)」
一撃だけとはいえ、確かに直撃した。
つまり、一時的だとしてもその技は確実に桜に通じるという事だ。
「はぁっ!」
「っ……!」
「くっ……!」
しかし、それでも。
空中での戦い方で差がついてくる。
いくら秋十が努力を重ねたとしても、それは地上での話だ。
適応力の差で、空中での戦い方は時間を掛ければかける程桜に分がある。
「(縦横無尽に動く。……俺の力だと、その動きで桜さんに勝つのは難しいか。……でも)」
それがわからない秋十ではない。
そして、対処ができないという訳でも、ない。
「っ……!」
「………」
構えなおした秋十を前に、桜は一度攻撃の手を止め、間合いを取る。
「(……空中という状況下でなお、“隙がない”と思わせる構え……!これは、簡単には攻撃できないぞ……!)」
「(こんな状況を想定していなかった訳じゃない。対策が必要だろうと、今までの特訓を経てきた俺なら普通に考えつく。……でも、有効な手段が思いつく訳にもいかない俺には、これしかない)」
言葉で表すなら、それはただ単に地上での構えを空中にアレンジしただけ。
だが、実際に隙をなくしてその構えをするのは並大抵の技量ではできない。
「(だが、まぁ……)」
「(……だけど)」
お互い、リンクしたように同じ事を考えた。
そして、すぐに次の行動を起こす。
「(それでも、俺は攻める!)」
「(それでも、桜さんなら攻めてくる!)」
「「(なぜなら、それが天才たる所以だからだ……!)」」
弱者の工夫や細工など、叩き潰してこそ。
秋十が弱者かどうかはともかく、その信念に基づいて、桜は突撃する。
非才である秋十が挑戦してきているのだから、それを正面から叩き潰す気概でなければ、天才など名乗れるはずもないと。そう言わんばかりに。
「ぉおおおおおおっ!!」
「っ……!」
ギィイイン!!
桜のブレードが秋十のブレードで逸らされる。
重く、鋭い一撃。しかし、秋十の構えは崩れない
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