暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第73話「夢追・無限」
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を放つ。

「まだ!」

「ッ!?」

   ―――“二重之閃”

「ぐっ……!?」

 だが、それは結果として悪手となった。
 手数一つ分、秋十は押されたが、それを利用して即座に反撃を放った。
 手数が少ない分、隙が少なかったため、その早さに桜は相殺しきれなかった。

「ふっ、はははは!!」

「(また桜さんの悪い癖……!来る!)」

 同じ技だと押される。そのことに桜は大声で笑った。
 その態度を見て秋十はさらに警戒を高める。
 なぜなら、ここから先は桜も得意分野で来ると分かったからだ。

「まずは小手調べだ……!」

   ―――“羅刹”

「っ……!」

   ―――“三重之閃”

     ギギギィイン!!

 “火”と“土”を宿した連撃に対し、秋十が超速の三連撃を放つ。
 力の差で桜の方が押しているが、相殺自体は出来た。

「ほう……!」

   ―――“九重の羅刹”

 だが、その直後に桜は上位互換の技を出してきた。

「くっ……!」

   ―――“四重之閃”
   ―――“二重之閃”

     ギギギギギィイン!!

「がぁっ……!?」

 ブレードをもう一つ展開し、二刀で相殺しようと試みる。
 しかし、威力を殺しきれずに秋十は吹き飛ばされてしまう。
 幸いなのは、吹き飛ばされた事で直撃しなかった事だ。

「まだまだ!」

「ッ……!」

 追撃を桜は繰り出してくる。
 すぐさま体勢を立て直した秋十は、旋回したその攻撃を躱す。
 しかし、桜はそのまま追ってくる。

「(逃げ続けた所で、意味はない!)」

 空中機動に特化した単一仕様能力を持つ夢追ならば、桜から逃げ続けられる。
 しかし、それでは勝つことは出来ない。
 何より、時間を掛ければ桜は機動力の差を埋めてくる。

「(やってやる……!)」

 秋十の手札は多くない。
 何せ、手札の多くは桜から教えてもらったものばかりだ。
 通じない手札を使う理由はなく、そのため、使える手札は少なくなる。
 数少ない手札は未だに通じているが、いつ対処されてもおかしくはない。
 ……よって、秋十はこの場で新たな手札を生み出す必要があった。

「……!」

「(あれは……“羅刹”の構え?)」

 秋十が逃げるのをやめ、一つの構えを取る。
 それは、すぐに放てるためにあまり見ることのない、“羅刹”の構えだった。

「(あからさまな“羅刹”の構え……何を……?)」

 桜に“羅刹”は通じない。それは秋十もわかっている。
 ……だが、天才である桜は知らない。
 “既知”が“未知”になるその瞬間を、彼は知らない。

「ッッ……!」


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