最終章:夢を追い続けて
第73話「夢追・無限」
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逸らした反動で弧を描くように通り過ぎた桜を追いかける。
受け流されたことに対処しようとしてスピードが落ちていた桜に追いつく。
「っつ……!!」
「ッ……!」
燐光が炸裂。しかし、秋十はそれを躱す。
即座に旋回し、桜へと肉薄。
「はぁっ!」
「ぉおっ!!」
―――“二重之閃”
―――“二重之閃”
宙を駆け、交わる瞬間だけぶつかり合う。
そのため、ぶつかり合う度に超速の連撃が繰り出される。
「「ッッ……!!」」
ギギィイン!ギギギィイイン!!
まるで、螺旋を描くかのように、何度もぶつかり合いながら攻防を繰り広げる。
ぶつかり合う度に重なった金属音が響き、火花が散る。
「(互角か……!)」
「(性能自体は夢追の方が上……!だが、それだけじゃない!秋十君の並々ならぬ努力があってこそのこの力……!)」
もう一つの単一仕様能力の影響で、ISの性能は夢追の方が上である。
しかし、四属性の練度や地力が桜の方が上なため、結果的に互角になっていた。
もちろん、全く同じ動き、力ではないため、このまま千日手になる事はないが……。
「っ……!」
「っ、いつの間にか、ここまで来ていたか」
視界に映った光景に、二人は思わず動きを止める。
桜が呟いた言葉も、地上なら届くはずなのに秋十には聞こえなかった。
「【……これが、俺たちの見たかった光景の一つだ】」
「【これ、が……】」
眼下に映るのは、弧を描いて見える地平線。
星として丸く見える高度まで、二人は来ていたのだ。
「っ……」
秋十は息をのんだ。その光景があまりにも壮観だったからだ。
今まで、映像越しにしか見たことがない光景。
それを、ISを纏っているとは言え、肉眼で見る事が出来たのだから。
「(……今まで、ただ“桜さんたちの夢”と捉えていたけど、桜さんたちの気持ちが分かった気がする。……この光景は、凄い……)」
決して見通せないほど広がる宙。
眼下に広がる地球。
無限に広がる“未知”を前にして、秋十は桜と束がなぜ宇宙に憧れたか理解した。
「(そして、この光景を見るための“翼”が……ISか)」
言葉に言い表せない、感慨深いモノが秋十の胸の内を駆け巡る。
一体、桜や束はこれを実現するまでにどんな思いをしてきたのだろうかと、秋十の脳裏にそんな考えが浮かぶ。
「(でも、今は)」
だが、それは今の状況では雑念になりかねないと断じ、頭の隅に追いやる。
秋十は改めて桜を見据え、ブレードを構えなおして対峙する。
「【夢を追い続け、かつての憧憬を想い起こす。……桜さんと束さんは、
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