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ソードアート・オンライン 〜紫紺の剣士〜
アインクラッド編
16.50層
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すぐ右隣りで、誰かが叫んだ。次いで、青い光が閃く。転移結晶による戦線離脱。これを見るのはもう3人目だ。
「勝手を・・・!」
小さく毒づいて、俺は振り下ろされる腕を片手持ちの高速袈裟斬りで弾いた。ひび割れていた腕が粉々に砕け散る。さっきからずっとこの調子だ。多すぎる腕と高い攻撃力に恐慌をきたしたプレイヤーが、次つぎに戦線を離脱している。俺も、本来アタッカーであるはずのキリトでさえも、タンクとして奔走している。これではいつ戦線崩壊に至ってもおかしくない。
それでも、ボスのHPはようやく半分を割り込んだ。
「ギアアアアァァァァ!!」
金属的な悲鳴を上げて、ボスが高々と腕を振り上げる。
「パターン変わるぞ!注意しろ!」
言われるまでもなかった。俺もそのつもりだった。だが、甘かった。
気付くと俺は、壁に叩きつけられていた。
「がはっ・・・!」
「アルト!!」
キリトが俺を呼ぶ。左手を上げて無事を伝えながら、俺は必死に頭を回転させる。
何故こんなことに?当然、ボスの攻撃を受けたからだ。攻撃パターンが変わった?違う、変わったのは速さだ。速度が速すぎる、あまりにも。
ボスの攻撃をかわしつつ、キリトがこちらにやってきた。
「大丈夫か?」
「あぁ。・・・キリト、お前はあれを受け切れるか?」
「正直、難しい。タンクが減りすぎた。このままだと・・・」
全滅する。俺とキリトは同時にヒースクリフを見た。あいつだけは、涼しい顔をして攻撃を捌き続けている。HPもさして減っていない。
「奴は別として、これ以上は危険だ。アスナに撤退か救援の要請をしたほうがいい」
「あぁ、そうだな。・・・え、俺が?」
「むしろお前以外にだれがいるんだ?」
キリトは一瞬微妙に嫌そうな顔をしたが、直ぐにアスナのもとへ走っていった。こんな状況でも、アスナの高速レイピア捌きは衰えていない。相性が悪いはずのボスの腕を、すでにいくつも破壊している。
両手剣を持ち直し、構える。振り上げれられる腕を、じっと見つめる。
腕が持ち上がり、狙いを定め――――一瞬、止まる。
――――今!
地面を蹴り飛ばし、前へ。俺を狙った腕が、地面に激突。その瞬間を狙い、両手剣ソードスキル《イラプション》を発動させる。
バキッ!と硬質な音が響いて、腕は粉々に砕けた。成功だ。
――――が。
「しまった!」
すぐ右で誰かが叫んだ。その直後、激しい衝撃が俺を襲う。誰かがボスの腕を受け損ねたらしい。急激にHPが減っていき、3割を切る。しかも、HPバーを黄色い枠線が囲む。スタン状態だ。
冷たい汗が背中を流れた。ボスが腕を振り上げるのが目の端に見えた。だが動けない。遠くで、誰かが俺の名前を呼んだ。
――――ごめん。
誰にともなくそう思った、その直後。
ガアァァァンッッ!!
凄まじい衝撃音を響かせ
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