第十三章 神は降臨するのか
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口出しをすることも許されないということか。
定夫たちのオリジナル作品があるWebサイトを、権利譲渡の際に閉鎖させられたのだが、それがつまり、そういうことだったのであろう。
まったくもって釈然としないが。
そもそも第一期の制作発表では、ネット発祥の作品であることを強く前面に押し出していたはずではないか。
だったら、「しょせん素人の作った物だが、しかし原点ここにあり」としてオリジナルはそのまま残して閲覧出来るようにし、かつ、原作者とのやりとりを上手に利用して、さらに作品を盛り上げていくという手法だってあるだろうに。
手作り感を生かすという方法があるだろうに。
育て作り上げたのはみなさんです、という雰囲気に持っていくことだって出来るだろうに。
オリジナル版は現在も闇サイトより入手は可能で、いまだ高い評価を受けているのではあるが、そのようなことにのみ心慰められなければならないとは、悔しいを通り越して、これはなんという気持ちなのか自分でも分からない。
権利譲渡の契約が成立した直後のこと、八王子は金銭的なことについてもっと上手く交渉しておけばよかったと愚痴をこぼしていた。
定夫は現在でも金銭云々という気持ちはあまりないが、ただ、発言権をある程度主張しておくべきだったかと強く後悔していた。
ずーっと呆けたような顔をして、家の中で北風に吹かれていた定夫であったが、ようやく、はっと気付いたように受話器を置いた。
ねろねろと、鼻水が顎まで垂れていたので袖で思い切り拭った。
顔中にねろねろが拡散されただけだった。
3
「もち聖地巡礼っす。ホノキュン萌え萌えー」
「第一巻初版本のカバーに、神主さんのサイン頼もうと思って持ってきちゃいましたあ! 関係ないけどズシーン最高!」
「ゆうきウイン!」
眼鏡をかけた三人の若者が、境内ではしゃいでいる。一人は、ほのかのフィギュア、一人は漫画本を手にして振っている。
みな肥満体型なのにカメラにやたら寄るため、画面はぎゅうぎゅうである。
夕方ワイド番組で、現在日本のアニメ界に大旋風を巻き起こしている「魔法女子ほのか」の特集を放送しているのだが、それを、いつもの四人で視ているのだ
特集の取材場所は、鳥取県にある神社だ。
ほのかたちは作中で巫女のアルバイトをしているのだが、そのモデルらしいということで、この神社は聖地認定されているのである。
彼ら三人以外にも、それと思しき風体の若者たち、はたまた中年たちまで、カメラは捉えている。どうでもいいが肥満率高し。
「魔法女子ほのか」、その人気はこの通り衰えることを知らなかった。
ラジオドラマも近々開始予定で、「君の作った魔法女子が戦うぞー」などと、アニメ雑誌やWebで
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