第十三章 神は降臨するのか
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が。たくさんの社員を抱え、それぞれに家庭もあるのであろうし」
などと世知辛さをしみじみ語り合っていると、女性店員がやってきて皿をテーブルに置いた。
切れ込みにバターが差し込まれている熱々のジャガイモだ。
「ここいつも、最初にこれが出るんですよね。すぐ手をつけるとそれでお腹一杯になっちゃうし、必ず口の中をやけどするから、カレーが美味しく食べられなくなっちゃうんですよね。だからあたし、いつも最後までとっておくんです」
と、経験を語っている敦子の隣で、
「ぐあああ、あ、あふっ、あふっ、うっ、上顎の皮がめくれたああああ!」
トゲリンの絶叫。
なんだか二人羽織芸に見えるのは、単に太っているからであろうか。
「だから敦子殿がいってたのにい。ほら、トゲリン、水」
八王子が、コップを滑らせトゲリンの前に差し出した。
「あたし三回くらいやっちゃって、もう骨身に染みてますからね」
えへへ、と笑う敦子、のテーブルを挟んで、
「舌ギャアア! あふっ、皮っ、むけっ、むけっ!」
周囲から学習することを知らない山田レンドル定夫であった。
というかそもそも、この四人で来たのも二回目だというのに。
2
「権利は当社にあるということですので」
「しし、しかしっ!」
と、食らいつく定夫であったが、
「失礼致します」
ブツ。
プーップーッ。
切られてしまった。
定夫は受話器を手にしたまま、まるで時が止まったように呆然として、動かなかった。
本当に時が止まっているわけではないことは、ずるりと垂れた真緑のぶっとい鼻水が振り子のように揺れていることから瞭然であったが、とにかくそれほどのショックを受けていたのである。
可能性の一つとして想定には入れて、ある種の覚悟はしていたのだが、まさかここまで見事に門前払いを食らうとは思っていなかったのだ。
なんの話か。
神保町のカレー屋に、ジャガイモの熱さについて苦情を訴えたわけではない。
「魔法女子ほのか」の全権を売った相手、星プロダクションというアニメ制作会社に電話をしてみたのだ。
第二期の構成について、原作者として思うところを糺すために。
要するに、アメアニに掲載されている情報が真実だとしたら、フザケンナコノヤローと文句をいってやるために。
権利譲渡の際に名刺を受け取っていたので、その担当の名を告げ取り次ぎをお願いしたのであるが……
しかし、担当者は多忙を理由に電話に出ず。
三分ほど保留にされた挙句が、先ほどの会話だ。
面倒くせえ、とにかく突っぱねろ、ということで受付嬢に門前払いを指示したのだろう。
こちらが権利を手放した以上は、どんな些細な
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