第十三章 神は降臨するのか
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を見て、一呼吸、ゆっくり口を開いた。
「だよな。どんなに宇宙規模の超絶バトルになろうとも、最後にはほのぼの日常に還る。それが、まほのというアニメなんだ」
どこかに明記されているわけではない。定夫にとって当然というだけのこと。
だから、確認したのである。みんなの思いを。
「友達と喧嘩したり、誰かを好きになったり、失恋して落ち込んだり、テストで赤点取って補習受けたり、カラオケ行ったり、お料理したり、お正月には神社でお餅つきい……」
もともとほのかにそうした日常要素を求めていた敦子が、楽しげに妄想しながら天井を見上げている。
「風呂を覗かれたり、スカートめくられたり、風のいたずらでめくれるのもまた風流かな。ほっほ」
興奮妄想にニヤけるトゲリン。
「買い物先で選ぶ服が合うの太ったのと揉めたり、宿題終わらなくて泣きついたり、道端でどうでもいい雑談を延々としていたり、犬のウンコ踏んだり」
八王子も続く。
「そう。そういう日常が、『魔法女子ほのか』の原点なんだ。元々、ほのぼの学園ものか、退魔ものか、ってことで企画作りだって始まっているんだし。だというのに、この一方通行の時間遡行、というか単なる氷漬けで未来に行って神々とバトルって、なんなんだ」
「だよね。次元の裂け目に落ちて転生しつつ過去に戻ったはるかのように、最終的に現在に戻ってくる可能性はそりゃあるだろうけどさあ、メインの舞台が未来世界というのは、なんかなあ。未来に行ってしまったら、ずっとバトルと冒険でやるしかない」
「キャラ数を増やすのが目的、って気がしませんか?」
「確かに。佐渡川の考えそうなことでござる!」
トゲリンが苦々しげに言葉を吐き捨てた。
佐渡川書店とは、魔法女子ほのかアニメ化にあたり、バックについている超大手企業だ。メディア展開に精を出す会社として知られている。
「カード、玩具、ゲームをどんどん出して儲けたいんだけど、でも一般的に、その原作となるアニメ、まあ特撮も同じ傾向なんだろうけど、昔はともかく現代では主人公と同じフォーマットのキャラにしか注目がいかないんだよね。モノとして売れない。つまり『怪獣の人形』よりは『変身アイテム』、ということ。『正義の怪獣』よりは、『悪のラ○ダー』、『悪のガ○ダム』、ということ」
「日常路線にすると、せいぜい数話に一回しかそういうキャラを出せないが、未来、つまり非日常を舞台にしてしまえば、一話に何人も出すことが出来る。さっき敦子殿がいっていた通りなんだ。カードゲームなどを作るためには、相当数のキャラが必要だから」
「なんか、愛のない話ですよねえ。それが大人の世界というのなら、あたし、大人になりたくないなあ」
「企業としては、正しいのかも知れないでござる
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