第三章
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「刈るか、鎌を持って」
「よし、頑張ろうな」
「その時もな」
「あとは稲の米を千歯こぎで取ってな」
「とうみでいい米と悪い米を分ける」
「そうしたこともしていくぞ」
「本当に何かとな」
しみじみとして言った太作だった。
「やること多いな、百姓ってのは」
「それは猟師もだろ」
「猟師だって大変だろ」
「熊とかも倒さないといけないしな」
「命賭けだろ」
「百姓はそうしたことないからな」
「台風来たら稲が心配だけれどな」
ここで台風、彼等が野分というそれの話もした。
「あの風で稲が倒されるからな」
「それで田んぼが滅茶苦茶になるからな」
「だからな」
「あれも怖いな」
「川の水が増えて堤を越えられたりしたら最悪だしな」
「堤も心配になってな」
「そうしたことになるからな」
「あの時は本当に心配だったよ」
この前のその台風が来た時のことも思い出す太作だった。
「果たしてどうなるか」
「そうだよな」
「あれが一番怖いな」
「火事に雷も怖いけれどな」
「一番怖いのはあれだろ」
「台風だろ」
「台風の時は山に入らなかったからな」
また猟師時代のことを話した太作だった。
「それだけだったけれどな」
「百姓だとまた違うんだよ」
「田畑が心配になるんだよ」
「そこが全然違うからな」
「注意しろよ」
「来年もな、そしてまずは」
秋のことも思って話した太作だった。
「秋になったら刈り入れか」
「それやるぞ」
「鎌磨いておいてくれよ」
「これはこれで大変だからな」
「頑張っていこうな」
「ああ、わかった」
強い言葉で頷いてそうしてだった。
太作は秋を待った、そして今度は鎌を持って稲を刈り入れてそれから千歯こぎやとうみで米を手入れしてだった。
年貢として納める分と自分達の食う分を分けた、ここまでしてようやくだった。太作は出来上がった米俵達を見て言った。
「しかしな」
「しかし?」
「しかしっていうと?」
「いや、冬も仕事あるんだよな」
百姓はとだ、このことにも言及したのだ。
「米の方が終わっても」
「ああ、農具の手入れとかな」
「あと新しい農具を作ったりな」
「そういうのもあるしな」
「後は堤や溝を見ないといけないし」
「そっちの仕事もあるぜ」
「そうだな、やるか」
冬の仕事もとだ、こう話してだった。
そしてだ、実際にだった。
彼は冬の仕事にも向かった、冬は冬で仕事があり彼は休むことはしなかった。だが彼はその中で村人達に言われた。
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