第二章
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「君の思うままにね」
「これから二人でだね」
「僕はそうするしね」
だからアンデルセンもというのだ。
「いいわね」
「どうしてもだね」
「そう、君の本来の想いのままにね」
人間には誰しも性欲がある、それに従えというのだ。ここまで言ってそうしてだった。
友人は自分が肩を抱いている少女と共に娼館の二階へと消えていった、二人が見えなくなってからだ。
それからだ、アンデルセンは金髪の少女に言われた。
「では私達も」
「うん、今からだね」
「いいお部屋を知っていますので」
「そのお部屋にだね」
「入りましょう」
こう言ってだ、そのうえで。
少女からアンデルセンを部屋に案内した、それからだった。
少女が部屋に鍵をかけた、そうしてから彼女の仕事をしようとしたが。
その彼女にだ、アンデルセンは穏やかな声をかけた。
「テーブルに座ろうか」
「テーブルに、ですか」
「うん、お話をしよう」
「あの」
少女はアンデルセンに戸惑いつつ言葉を返した。
「ここは」
「いいから」
優しく穏やかな声で少女に言うのだった。
「そうしよう」
「それでは」
少女はアンデルセンの穏やかな声にほぐされてだった、それで。
彼と話をすることにした、アンデルセンが話すのは世間話や他の他愛のないものだった。その間少女は常に仕事のことを考えていたが。
アンデルセンは部屋のベッドには目もくれず穏やかなまま少女と話を続け少女も応えた。そうしてだった。
時間までその話は続いた、するとアンデルセンは少女にこう言った。
「終わったね、ではね」
「これで、ですか」
「有り難う、今日は楽しかったよ」
「あの、私はまだ」
少女は戸惑うどころか驚いた顔でアンデルセンに話した。
「何も」
「僕のお話の相手をしてくれたじゃないか」
「だからですか」
「そう、楽しませてもらったから」
それでというのだ。
「いいよ」
「そうですか」
「じゃあお部屋を出よう」
今度はアンデルセンから言った、そしてだった。
彼は少女と共に部屋を出た、そうして娼館のロビーで待っていた友人に対して話した。
「じゃあ帰ろうか」
「?君は」
「何かな」
「いや、その娘とは何もだね」
「わかるのかな」
「わかるさ、楽しんだ者は顔に出るからね」
アンデルセンの部屋に入るまでと変わらない顔を見て言うのだった。
「だからね」
「それでなんだ」
「わかるさ、君は遊ばなかったね」
「しかし楽しい思いはさせてもらったよ」
少女に多くのチップを渡して彼女を笑顔で手を振って送ってから友人に話した。
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