第一章
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本当の顔
弓削自由はクールでありたいと思っている。
それで細面でやや色黒の薄い眉と小さい一重の目としっかりした唇を持つ顔をいつも落ち着いた表情にさせていた。
髪型も整えていて服も洒落ていて清潔なものだ、だがだった。
その彼にだ、友人達はよくこう言っていた。
「何か冷たい感じがするな」
「そうそう、弓削ってな」
「もっと熱くてもよくないか？」
「クールよりもな」
「少なくともその雰囲気も入れてもよくないか？」
「いや、何かね」
その整えている制服のチェックをしつつだ、自由は友人達に答えた。
「僕はこれが一番いいって思って」
「クール系？」
「熱くならずに」
「そっちでいきたいのかよ」
「今みたいに」
「そうなんだよ」
こう言うのだった。
「そっちの方が恰好よくないかい？」
「星野仙一さんみたいでもいいだろ」
「松岡修造さんとかな」
「ああいう熱い感じもいいだろ」
「そうじゃないか？」
「松岡さんは暑過ぎるから」
熱いだけでなく、というのだ。
「だからちょっと」
「まああの人は極端か？」
「周りの気温上げるって言われてる位だしな」
「だからちょっとな」
「極端って言ったら極端だな」
「あの人は」
「僕はあの人の逆でいきたいんだ」
むしろというのだ。
「クールでね」
「まあ別に気取った感じもしないしな」
「嫌味さはないしな」
「それじゃあな」
「それでいいか」
「まあ今はこれでいくよ」
クールでとだ、自由は自分のスタイルはこれだと思っていた、だがその彼に突如として異変が起こった。
ふとだ、入った喫茶店で彼は雷を打たれた顔になってだった。一緒に入った友人達にこんなことを言った。
「あの娘誰かな」
「あの娘？」
「あの娘って誰だよ」
「ほら、あの娘」
ウェイトレスの娘を見つつ言う、赤髪のショートヘアで落ち着いた感じの目と細い眉に白い顔、整った知的な感じの顔である。
背は一五七位で自由より十五センチ位小さい、スタイルも整っていて黒と白のメイド服を思わせるウェイトレスの服も純白のエプロンも似合っている。
そのウェイトレスの娘を見つつだ、自由は友人達に話した。
「凄く可愛くない？」
「まあ可愛いな」
「ああ、そこそこな」
「年齢は俺達と同じ位か？」
「高校生か？」
「何処の高校の娘かな」
こうも言った自由だった。
「一体」
「？何かおかしいな」
「ああ、今の弓削な」
「何かぼうってした感じになってな」
「いつもと違うな」
「ああ、違うな」
こう言ったのだった、その自由を見て。
「一体どうしたんだ」
「まさかと思うけれどな」
「あの人に惚れたか？」
「そうなったか？」
「本人に聞
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