十三 操り人形の手綱
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キバも同じような方法を使っているとは、流石にいのも知る由は無かった。
(だけど、チャクラの消耗が激しいから、【影分身】はこれっきりね…)
【影分身の術】は、分身体の数だけ本体のチャクラも等分される為に、チャクラの少ない者が使えば、消耗も大きい。それなのに、【多重影分身】で何人もの影分身を生み出すナルに、改めていのは感心していた。
戦闘態勢のいのをじっと見ていたサソリは、不意に【赤秘技・百機の操演】の術を解いた。
百体よりは随分数は減ったものの、それでもまだ残っていた傀儡人形が掻き消える。
傀儡師の武器である人形を急に巻物へ仕舞い込んだサソリに、いのは怪訝な表情を浮かべた。
「…どういうつもり?」
「なぁに。これ以上、俺のコレクションの数を減らしたくないだけだ」
いのに操られ、襲い掛かってきた自分の傀儡をサソリ自身も破壊していた為、せっかく百体揃っていた【赤秘技・百機の操演】が、名の通り、百機では無くなっている。
このまま、戦闘を続けていても、数は減るばかり。
それならば。
「暁に入った時のいざこざ以来だ。いつだったかなぁ〜…」
黒衣のボタンに指をおもむろにかける。
徐々に露わになるサソリの身体を前にして、いのと、そしてチヨの眼が大きく見開かれる。
「ああそうだ。坊に完膚なきまでに破壊された時、だったか…」
無謀にもナルトに戦いを挑んだ挙句、一瞬で粉砕されてしまった昔の出来事を思い出しながら、サソリは皮肉げに自嘲の笑みを零した。
己の全身を纏っていた、暁の外套。
黒衣が、するり、と地面に滑り落ちる。
それを脱ぎ去ったサソリの身体を眼にして、チヨは愕然とした表情を浮かべた。
直後、顔を顰める。
「……変わらんはずじゃ…」
背中から、シャキン、と刃物が飛び出す。
腹部から伸びるワイヤー。先端を地面に突き刺すと、所々から毒が滴り落ちてゆく。
自らを傀儡化したサソリは、己の腹から伸びるワイヤーに足をかけると、生気の無い冷ややかな瞳で、いのとチヨを見下した。
「なんにせよ久方ぶりだ…────自分を使うのはな」
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