十三 操り人形の手綱
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慣れしているカカシでもそうなのだ。ナルなど、心が引き裂かれるほど辛いだろう。
「ナル…」
肩に手を置こうとしたカカシは、次の瞬間、反射的に飛び退いた。
触れようとした指先が火傷している。
ぞわり、と悪寒がして、カカシはナルを凝視した。
(……おいおい…まさか、)
我愛羅を抱えるナルの瞳は紅い。
寸前までは隈取りのように目元に引かれていた紅色は無く、今はただ、炎のように燃える双眸が赤々とデイダラが墜落した森の方角を見ていた。
「よくも…我愛羅を…ッ!!」
「待て、ナル…!!」
カカシの制止を聞かず、ナルが森のほうへ飛んでいく。
カカシは慌ててナルを追おうとしたが、残された我愛羅を見て取ると、彼の身体を担いだ。
我愛羅を背中に乗せる。
力無いその身体からはやはり生きているとはとても感じられなくて、カカシは間に合わなかった己を責めつつも、ナルの後を追った。
その一部始終を、物言わぬ蝶がずっと見ていた。
森へと飛んで行った蝶とは別の黒い蝶は、胴体と頭部が別れた巨鳥の上をひらりと舞う。
やがて、デイダラ、そしてナル・カカシに続いて、黒い蝶もまた、森の奥へと向かった。
「チッ…」
刀を手に迫る傀儡人形。
自分の得物であるにもかかわらず、主であるサソリに襲い掛かる。
かと思えば、チヨが操る【白秘技・十機近松の集】の傀儡人形の攻撃。
己の傀儡人形が一体、急に指示に刃向かって、サソリ目掛けて刃を振るう。
それを避け、傀儡を壊した次の瞬間には、別の人形がサソリを襲う。
最初はチヨがチャクラ糸を使い、自分の傀儡を奪っているのかと思っていたが、どんなに注意深く観察しても、チャクラ糸は見えない。
それならば、答えはひとつ。
(あの女、か…!)
【白秘技・十機近松の集】の傀儡衆と同じく、チヨにチャクラ糸を結ばれ、操られている本人────山中いの。
チヨがいなければ、自分の攻撃を避けることも出来ない小娘だと侮っていたが、どうやら違うようだ。
(あの女…一体どういう能力で、俺の傀儡を…)
一国を落とした、最大の奥義。
チヨの持つ【白秘技・十機近松の集】の十倍の数をも保持している【赤秘技・百機の操演】。
一瞬で決着をつける為に繰り出した術のはずなのに、思いの外、時間を食っている。
それもこれも、何処から、どの人形が自分に刃向かってくるかわからないという不可
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