ターン91 遊野清明と河風現
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リンガーは確かに発動したのに、なんで攻撃が?」
『すまない、これを言うのを忘れていたな。エクシーズモンスターはその特殊な召喚の性質上、そのどれもがレベルという概念を持たない。そのかわり、基本的に素材となるモンスターのレベルと同じ数値のランクを持つ。バブル・ブリンガーはモンスターのレベルを参照して攻撃を抑制するカード、従ってエクシーズを縛ることは不可能なんだ』
「レベルに、ランク?」
フィールドにも墓地にもないオーバーレイ・ユニットに、レベルではないランク。シンクロ以上に馴染むのが大変そうな概念だが、チューナーを用意せずとも使える分出しやすさは上というわけか。ふと気になって、もう1度チャクチャルさんに問いかける。
「そういえば、このデッキはどうなの?あのエクシーズってのも使えるんだよね?」
『ああ。それは私が保証しよう』
「……オーケーオーケー、ならしっかり使いこなしてみるさ」
『その意気だ』
しかし考えようによっては、このタイミングでエクシーズ召喚のことを知ることができたのはむしろよかったのかもしれない。さっき感じたショックも何もかもをさらに上から吹き飛ばすほどに抑えきれない未知なるカードへの高揚感、そしてそれにどう対処し適応できるかが今は心の中を占めている。
ああ、そうだ。いつだってそのずば抜けたセンスと引きの強さで、僕のことを驚かせてくれる。たとえ名前が変わろうと、河風現は河風夢想とその本質は何ら変わりない。そして僕だってどんなに外面を取り繕ったとしても、その本性は立派な戦闘狂だ。
そう考えると、この不利な盤面を前にしていてもつい口元がほころんだ。この心境の変化はさすがの彼女にも予想外だったのかやや困惑した顔になるも、すぐに彼女も気を取り直す。
「ごめんね、とは言わないから。だから清明も、下手なことは考えないで本気できてね。それに、本気じゃない限り私には絶対に勝てないよ。もっとも本気で来れば勝てるかなんて、またそれは別の話だけど」
傲慢だ、とは思わなかった。現自身も、その言葉に自分の実力に対する過信は一切存在していなかった。それが天地がひっくり返っても否定しようもない、純然たる事実だったからだ。彼女も僕も、彼女が最強であることをよく知っている。それでも僕は、彼女をダークネスから奪い返して手に入れるために勝たなくちゃ……いや、勝つ。
清明 LP2200 手札:3
モンスター:なし
魔法・罠:バブル・ブリンガー
現 LP4000 手札:0
モンスター:巡死神リーパー(攻・1)
魔法・罠:なし
「僕のターン。シンクロ……それにエクシーズ……」
カードを引く。ついさっき知ったシンクロ召喚、そしてたった今知ったエクシーズ召喚。さっきはああ言ったけれど、わず
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