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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン91 遊野清明と河風現
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・ブリンガーで蘇生した2体のイーグルをリリースして呼び出したのが、あらかじめメイン1でサーチしておいたこのカードだったら。本来光の護封霊剣はフリーチェーンでいつでも使えるが、彼女はその性格からいっても今回のようにバトルフェイズに入るギリギリまで使わなかっただろう。スタンバイフェイズのこちらにとって絶対に止められない、どうしようもないタイミングでいきなり発動するようなことはせず、メインフェイズに一通りの展開を終えたのを見極めてから発動するために取っておいたはずだ。
 あのカードは、彼女にとって文字通り正真正銘最後の守り。裏を返せば、それさえ押さえることができれば必ず攻撃は通っていた。つまりこのターンは僕にとって最後の攻撃が許されたターンであると同時に、彼女に勝つことができた最初で最後のチャンスでもあったのだ。無論、霧の王が悪いわけではない。ましてや、チャクチャルさんにも一切の責任はない。全てあと1歩だったというのに、最悪のタイミングで読みを間違えた僕の責任だ。
 ああ全く、どこまで皮肉な話なんだろう。ついさっき彼女がせめてもの救いを求めて伸ばした手を踏みにじった僕が、今度は彼女を救うため自分から伸ばしかけた手をも自身の手で払いのけたなんて。僕はただ彼女を助けたい一心で、本当にそれだけの理由から限界以上に自分の力を引き出して、未知のカードからも力を借りて戦って。そのくせ、肝心なところで彼女を無駄に苦しめる事ばかりしている。

『こんな言葉が慰めにならないことはわかっているが、たとえそれに気が付いていたとしても結果は変わりなかっただろう。サーチ効果がチェーンブロックを組む以上、ガメシエルを手札に加えた時点でその目論見も先読みされた可能性も高い……もっとも、サーチのタイミングによってはデッキ圧縮の一環とみなされスルーされた可能性も否定はできないが』

 僕の手札には、このターン補給部隊で引いた幽鬼うさぎと今サーチしたガメシエル。辛うじて、心はまだ折れていない。まだデュエルを続けて、最後まで足掻くことができる。だけどそれは決して前向きなものではなく、ここまで彼女を苦しめたあげく手前勝手に勝負を降りるような行為は僕のデッキを、そして何より彼女のことを侮辱する行為だとわかっていたからだ。ターンエンド、と告げる自分の声は、悔しさのあまり我ながら情けないほどにか細く震えていた。

「私のターン。そう、このカード……なら、私も。まずは、3体目のワイトキングを召喚」

 ワイトキング 攻9000

 現が召喚したのは、先のターンに大欲な壺でドローした方のカード。ああ、やっぱりだめだったか。発動を介さず永続効果で攻撃力を変えるワイトキング相手には、さすがの幽鬼うさぎも使うタイミングが無い。先ほどダークナイトで挟んだ回復も、あの火力を前にすれば誤差の範囲程度の
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