ターン91 遊野清明と河風現
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そらく、僕が攻めるチャンスは多くてあと1回。次のターンまでならまだ捨て身で攻めに行けるけれど、返しに自分の身を守れない。だから、それ以上は無理だ。7000あったはずのライフをたかだか1ターンで600まで減らしてくるような相手に、下手な引き伸ばしは通用しない。ワイトが墓地に貯まっていない序盤ならまだしもすでにワイトキングがあれだけの攻撃力を手に入れた現状、これ以上このデュエルをだらだらと続けたところで現のドロー1枚1枚が僕にとっての死刑宣告になるだけだ。そしてこの予想は、決して絶望でも悲観でもない。
でも逆に言えば、まだあと1ターンは自由に動ける。このエクストラデッキからは、今も僕に呼ばれることを待っている新たなカードの鼓動を感じることができる。とにかく次のターン、次のターンで終わらせる。それができなければ、もうおしまいだ。僕がだろうか、世界がだろうか。それとも彼女が、かもしれない。
清明 LP600 手札:1
モンスター:なし
魔法・罠:バブル・ブリンガー
1(伏せ)
場:KYOUTOUウォーターフロント(5)
現 LP1000 手札:0
モンスター:ワイトキング(攻)
冥界濁龍 ドラゴキュートス(攻)
魔法・罠:1(伏せ)
「僕のターン。頼むよ、僕のデッキ……!」
でも、この際なんだっていい。もう1度だけ僕に戦う力を、ここから現を救うだけの力を……!力を込めてデッキトップに指をかけ、目を閉じて呼吸を整えてからまた前を向く。せっかく紡いだ希望をも無に帰すほどの圧倒的な彼女の力に対抗できる最後の奇跡を、これで終わりとなるほどの切り札を。
「……ドロー!」
引いた。力強く。極限に達した集中が脳内にアドレナリンを爆発させ、鈍化した時間の中で自分の腕がスローモーに振り切られるのが見えた。そしてその先に握られた、1枚のカード。永遠にも続きそうなその時間の中でそっとそれをひっくり返し、刻まれた正体を確かめる。
「これ……!」
『ほう。ここで引いた、か。まだわからないぞ、これは』
僕の引いたカード。そこには……何も描かれていなかった。イラストやテキストどころか色すらついていない、全くの白紙のカード。かつてペガサスさんに貰った、未知なるカードの片割れ。稲石さんと共に消えてしまったゴーストリック・フロストの穴を埋めるためにこっそり入れておいた、不思議な1枚。
いまだにこの真の姿も、僕にこれを使うことができるのかもわからない。そもそももう片方の白紙のカードが壊獣の力を解放するための扉の役割を果たすものだったことを考えると、これが本当に単なるカードなのかも怪しいものだ。だけど僕のデッキは、このカードをこの土壇場で僕に託してくれた。このカードは、この極限の状況で僕の手元にやってきてく
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