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副参謀
第一章

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               副参謀
 アレクシス=ロードゥは魔術師である、ある国にその立場で雇われているが最近魔術師としての仕事はない。だがそれでも多忙だ。
 アレクシスは今会議室で地図を前にして座っている、そうしてそこで国王や将軍、そして軍師達に言うのだった。
「今現在我が軍は優勢ですが」
「それでもか」
「はい、今後を考えますと」
 地図の上には青い駒と赤い駒がそれぞれ置かれている、青が自国赤が敵国の軍勢を表している。
「平野への進出はです」
「避けるべきか」
「そう思います」
 こう国王に話した。
「敵は強力な騎兵隊を持っています」
「騎兵隊と平野で戦うことはか」
「避けるべきです」
「騎兵は平野で最も有利に戦えるからな」
「敵国の騎兵隊は大陸一です」
 アレクシスははっきりと言い切った。
「槍騎兵だけでなく弓騎兵、鉄砲騎兵にです」
「魔道騎兵もだな」
「あらゆる騎兵を揃えています、それも大勢」
「だから平野部への進出はか」
「避けるべきです」
 こう言うのだった。
「今は」
「今は、か」
「はい、この平野部は大陸の要地掌握すれば我が国は各国に戦略的に有利に立てます」
「だから掌握すべきか」
「ですが」
「問題は敵の騎兵隊か」
「彼等をどう打ち破るかです」
 このことが重要だというのだ。
「その対策を確立したうえで平野部に進出しなければ」
「我々は負けるか」
「兵の数では我が軍は三倍、ですが」
 それでもというのだ。
「騎兵は遥かに劣ります」
「それ故にだな」
「敵の騎兵隊に対する策を講じましょう」
「進出はそれからでいいな」
「左様かと」
 アレクシスは王に副参謀として話した、その後で参謀や将軍達もそれぞれの意見を述べたがアレクシスの言葉があり彼等も平野部に積極的に進出しようとは言わなかった。それでまずは騎兵隊への対策を出すことになったが。
 このことは参謀が王に任されアレクシスは今度はその参謀の補佐として対策を出すことになった。だが。
 参謀と二人で彼の部屋で対策を出す中でだ、アレクシスはふとこんなことを言った。
「何か最近」
「忙しいか」
「軍隊の仕事で」
 それでとだ、参謀にどうもという顔で言うのだった。
「そちらに」
「魔術師なのにか」
「最近魔術の本読んでないです」
「本すらもか」
「読むのは兵法書に歴史書に地理の書と」
「そういうものばかりか」
「完全に軍師になってますよ」
 参謀を助けてというのだ。
「軍のその一人になってますよね、私」
「そうだな、しかしな」
「それもですか」
「仕方ないだろう」
 参謀はこうアレクシスに返した、話を返しつつ彼女にお茶を薦める。眠気覚ましと気分転換の為にだ。
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