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特殊陸戦部隊長の平凡な日々
第14話:新体制の幕開けー2
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残った隊員たちはその様子を見ながら楽しげに声を上げ始める。

そんな彼らとは別に、真剣な表情で模擬戦をじっと見つめるゲオルグたち3人の姿があった。
3人はそれぞれの隊員とその役割について話ながら、1戦1戦の模擬戦をじっくりと見ていた。
やがて模擬戦が進んで最後の組の模擬戦が始まったとき、ティアナはゲオルグに声をかけた。

「ゲオルグさん、私たちはどうしましょうか、模擬戦」

「どうしましょうかって、当初の予定は?」

「もちろんやる予定でしたよ、私とエリーゼさんで。 でも、ゲオルグさんが入ったんで・・・」

「ああ、一人あぶれちゃうのか・・・」

ゲオルグはごちるように言うと、わずかにうつむいて考え込む。
ややあって、顔をあげティアナを見たゲオルグの顔には、意地の悪い笑みがうかんでいた。

「簡単だろ。 1対2でやりゃいい」

こともなげに言ったゲオルグの言葉に、ティアナはわずかに目を見開いた。

「1対2って、組み合わせはどうするんです」

「決まってんだろ、俺が1。 それ以外では成立しないだろうが」

ニヤニヤ笑いながら言ったゲオルグに対して、ティアナは不満げに声を上げる。

「・・・さすがになめすぎじゃないですか」

「なら、今日の模擬戦でそれを証明してくれりゃいいよ。 ほれ、ぼちぼち時間だ」

そう言ってポンと彼女の肩を叩き、模擬戦のフィールドに向かって歩いていくゲオルグの
背中を、ティアナはじっと見つめていた。
その拳を強く握りしめられていた。

「・・・なによ、やってやろうじゃない」

ゲオルグに鋭い視線を向けるティアナが、一歩踏み出そうとすると、その肩に手が置かれた。

「聞いてた。やってやりましょ」

ティアナが顔を向けると、眉尻を吊り上げたエリーゼが立っていた。

「ええ」

ティアナはエリーゼの言葉に頷き、模擬戦のフィールドに向かって歩き出した。
隊員たちの前に差し掛かると、“分隊長がんばれ〜!”といった、はやしたてるような
声が彼女たちに送られていたが、進んでいくにしたがって彼女たちの険しい表情に
気圧されるように、静かになっていった。
彼女たちはバリアジャケットを身にまとい、フィールドへと入った。

すでに黒いバリアジャケットを身にまとって立つゲオルグと、30mの距離を置いて
2人は向かい合う。

「さて。 はじめるか」

ゲオルグがにこやかにそう言うと、相対する2人は固い表情を浮かべ無言でうなずいた。

3人の前に画面が立ち上がり、模擬戦開始までのカウントダウンが始まる。

ゲオルグはレーベンを2度3度と軽く振ると、わずかに腰を落として身構え
ティアナとエリーゼの方を見つめた。

(さて、どうするか・・
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