第壱話:綾波さんは揉まれたい
第壱話:綾波さんは揉まれたい(起)
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ったが、そのまさかのセリフが、顔を上げた綾波の口から放たれた。
「…なら、どうして綾波のおっぱいを触らないのですか?」
ぐはあ。あんまりな問いに、ケイトは助けを求めてベルファストの方を見るが、彼女は笑いをかみ殺したまま俯くばかりだ。助けてくれそうな気配はない。こいつめ、と思うがどうしようもない。
「綾波のおっぱいだって、最近少しは大きくなってきたのです。どうして、指揮官は触ってくれないのですか?」
綾波が更に攻勢を強めてくる。ああ、なるほど。先ほどの綾波の態度が腑に落ちた。要は彼女はベルファストに嫉妬していたのだ。男として実に嬉しいのだが、正直困ったものだ。だが、下手に誤魔化しても逆効果なのは、火を見るより明らかだ。正直に言うしかない、と思う。
「綾波。俺はお前の胸には下手に触りたくはない。だが、それはお前のことをベルより愛していないとかそういうことじゃない」
「…どういうことなのです?」
ケイトの言葉を聞いて、綾波は首を傾げて尋ねてくる。だが、ケイトの言葉に嘘の響きが感じられなかったことから、綾波の声音は若干だが柔らかくなっている。
「動物に例えるのは悪いと思うが、犬と猫とを愛でる時、その作法が異なるのは分かると思う」
「…要は綾波とベルとでは愛で方が違う、ということなのですか?」
「そういうことだ」
「…御主人様。あれが私の愛で方だというのなら、いくらか申し上げたいことがございます」
「また後でな」
実に心外そうに口を挟んできたベルファストの言葉をサラッと流して、ケイトは綾波を見つめる。彼女は何か言いたそうに口を動かしかけるが、どうしても一言を言葉にすることができず、
「…わかりましたのです」
そう言った。どこか納得がいかない表情で。だが、一応今のところ質問はこれで終わりのようだった。ケイトは内心でほっと胸を撫で下ろす。後でベルファストからの文句や説教があると予想されるが、諧謔を弄することのできる彼女の相手はまだしも気が楽だ。
「…では、綾波は出撃前の最終調整があるので、もう行くのです」
「ああ。頼むぞ、綾波」
「…はいです」
そう言って、部屋を去ろうとする綾波は、やはり何か言いたそうにケイトの方へ振り返ってしばらく見るが、やがて一礼をして部屋を出た。その足音が遠ざかった後、はぁ、とケイトはため息をつく。
「お嬢様もすっかりお年頃ですね」
そんなケイトの様子を見ながら、ベルファストはとても感慨深そうに言う。彼女としてはやはり幼い戦友のそうした変化が嬉しいのだろう。
「ベル。今回の悪戯は性質が悪いぞ?」
「人の胸を触ることを挨拶代わりにしている御主人様の仰ることとは思えませんが?」
「悪かったよ。だが
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