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綾波さんは語りたい
第壱話:綾波さんは揉まれたい
第壱話:綾波さんは揉まれたい(起)
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トナーのような女性である。

「おはようございますです、指揮官」

「おはよう、綾波。出撃の準備はいいのかい?」

 茫洋とした表情で言う彼女に、ケイトは微笑んで言う。彼女は今日の出撃艦の一人であり、第一艦隊の主役となる存在である。真面目な彼女が出撃の準備を怠っているとは到底思えないが、一応尋ねてみたのだ。

「綾波はいつでも戦えるのです。それよりも、」

 そう言って、綾波はベルファストの方に向く。そして、右手を差し出して言う。

「申し継簿を受け取りに来たのです。明日からまた秘書艦勤務なのですから、出撃前に受け取っておきたいのです」

「はい、お嬢様。準備はできております」

 そう言ったベルファストの手の中には、いつの間にかB5サイズのノートがあった。彼女はよくどこからともなく色々なものを取り出す。別の次元に通じているポケットでも装備しているのか、と聞きたくなる。

「…確かに受け取ったのです」

 綾波は受け取ったノートをパラパラと見て、頷いて言う。その様子を見て、おや、とケイトは思う。妙に綾波の態度が素っ気ないからだ。

 綾波とベルファストとの仲は悪くない。むしろ、かなり良好であると思っている。艦隊結成当初から共に艦隊のエースとして働いており、特に演習においては長らく共に肩を並べて戦ってきた仲だ。ベルファストは綾波をお嬢様と呼んで特別扱いしており、綾波もベルファストには相当懐いている。その割に態度が固いのはどういうわけだろう。

「…指揮官、質問があるのです」

 不意に綾波はケイトの方へと向き直り、質問をぶつける。茫洋とした表情に変化はない。だが、言いしれない妙な決意の漂う様子にケイトはたじろぎ、思わずベルファストの方を見る。彼女はニコニコとしたまま黙って経緯を見ている。やられた。ケイトはそう思った。

「指揮官はいつもベルのおっぱいに触っているのですが、そんなにおっぱいが好きなのですか?」

 綾波のどストレートな質問に、ケイトは思わず天井を仰いだ。傍らでベルファストがほくそ笑んでいることを確信しながら。そういえばさっき何やら視線を感じたのだ。ベルファストがワザとドアを少し開けておいたのだろう。綾波がやってきて、アレしている様を覗くことを確信して。

「それはね。むしろ、好きでない男がいるとは思えないな」

 綾波の方へ向き直ったケイトは冷静を装って言う。正直に自分の思うことを。彼女には絶対嘘はつかない。誠実を貫く。それがケイトが誓っていることの一つだ。第一、彼女に下手な嘘をついても一秒で見透かされるだろう。

「そうなのですか。なら…」

 そう言って、綾波は少し俯く。そして、僅かにもじもじしてみる。きっとその表情は仄かに朱に染まっているだろう。まさか、とケイトは思
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