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夜のコーヒー
第二章
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「張り合いがないっていうものだよ」
「そういうものですか」
「ああ、だから飲んでくれよ」
 マスターはリューカーに笑って声をかけた。
「これからもうちのコーヒーをな」
「そうさせてもらいます」
 こう答えつつだった、リューカーは店のコーヒーを楽しんだ。そして。
 彼はこの日も多くのコーヒーを飲んだ、それは夜も同じで。
 彼は夜遅くもコーヒーを飲んだ、たまたま仕事が残業で仕事場に残っていた彼に一緒に仕事をしている同僚が言った。
「もうすぐ終わるのに飲むのかい?」
「はい」
 リューカーはその同僚に温和な顔で答えた、普段の出来ないサラリーマンとして。
「好きなので」
「いつもコーヒーなんだな」
「飲んでいると目が冴えるので」
 だからとだ、リューカーは飲みつつ彼に話した。
「それでなのです」
「そうか、けれどな」
「けれどとは」
「夜にコーヒー飲んだらな」
 それこそというのだ。
「寝られないだろ」
「そうですね、ですが」
「寝なくてもいいのかい?」
「私はあまり寝ないで済む体質でそれに」
「それに?」
「あまり寝たくもないのです」
 こう同僚に話した。
「ですから」
「それでなのかい」
「コーヒーを飲んでいます」
「寝たくないからか」
「そうです」
 温和な顔のまま言う、しかし。
 心の中では思い出していた、あの時のことを。家に帰った時両親は書き置きだけ残して去っていた。まだ子供だった彼の前から。
 両親は信じていた人に騙されてそうして多額の借金を背負って失踪した、幸い借金は彼が子供であり返済能力なぞなかったので支払わずに済んだ。
 彼は親戚の家に預けられた、幸い優しい人達だったので彼は普通に育ててもらい大学も卒業して今に至る、だが。
 それはあくまで表のことだ、彼は裏では詐欺師達を騙す詐欺師、偽善家となり働いている。そうして両親を騙した人物も陥れて仇も取った。
 だが両親は今も何処にいるのかわからない、生きているのか死んでいるのか。それは全くわからない。
 こうしたことを思い出していた、しかし。
 それは仮面に隠してだ、同僚には笑って言った。
「ゲームをしていたいので」
「おいおい、それでか」
「はい、コーヒーを飲んで」
「眠気を覚ましてか」
「楽しんでいます」
「だといいがな、けれど遅刻しないしな」
「それはしないですし居眠りもしないので」 
 実際に彼は居眠りもしない。
「安心して下さい」
「そうだよな、じゃあな」
「はい、もう一頑張りをして」
「仕事終わらせような」
「そうしましょう」
 こう話してだった、そのうえで。
 リューカーは今はサラリーマンとして仕事を終わらせた、だが残業が終わると夜の街に出た。そしてまた一人詐欺師を逆に騙した。それが
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