第六十九話
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―昨夜―
「…………どういう意味だこら。」
俺は拓海の胸倉を掴んだ。やはり、拓海を軽々と持ち上げれてしまう。
ここにいる艦娘の半分くらいが、無理矢理、あるいは仕方なく艦娘になっただぁ?
「…………普通の人が艦娘になる方法は、幾つかある。」
拓海は持ち上げられたまま、俺の目をじっと見ながら語りだした。
「一つは、『始祖』の場合。最初っから艦娘として産まれたパターン。千尋は半分例外だけど、ここに含まれる。」
俺はふと、春雨やお袋や鳳翔さんを思い浮かべた。所謂、人外というやつだ。
「さらに、最初から『適性』を持っているパターン。病院での血液検査の時に判明したら、本部のところに連絡が入って、すぐさま声が掛かる。相手が了承したら、然るべき対処の後、艦娘になる。木曾や冬華はこのパターンだね。」
今度は木曾の顔を思い浮かべた。あの眼帯オレっ娘は、元気にしてるだろうか。また電話しようかな。
拓海はそこまで言うと、先程に比べて少し神妙な面持ちになった。
「…………そして、『適性』はないけど艦娘に自らなるパターン。男連中は知らないだろうけど、小学校の時に女の子だけが集められるときがあったでしょ?あのときに、一通りの説明を受ける。そして、女の子が保護者だったり、責任者と一緒に艦娘になることを本部に何らかの方法で伝えればいい。」
俺は息を飲んだ。
つまり、世の中の女性は、知っていたのだ。
深海棲艦に対抗することができる『艦娘』の存在。
それは女性にしかなることができないこと。
俺達は、身近な人が艦娘になって、はじめてそれに気付くってのに。
「どうやって適性のない人を艦娘にするかは、誰のでもいい、艦娘の血を注射すれば『適性』ができる。どの艦になるかは分からないけどね。」
…………そこまで聞いて、気になることがあった。
「…………家族へはどれくらい包むんだ?」
「三〜四千万。そして、艦娘への給与と同じ金額が毎月入る。」
即答だった。
「……………………身売り、じゃねぇかよ。」
俺は名瀬だか力が抜けるような感覚になって、拓海を放した。
「…………だね。」
拓海は襟元を正しながらそう呟いた。
しかし、ある意味良心的かもしれない。
戦争ってのは、なんにもなしで駆り出されるもんだ。カネが払われるだけまだましだろう。
もっとも、人の命をカネで動かしているという点では、どうなのかとも思うが。
「まぁ、あまりに小さい女の子や、家族に半分無理矢理『艦娘』にさせられた人なんかには、軽く記憶操作をするけどね。」
今は平成だからね、と拓海は苦笑しながら付け足し
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