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ランス 〜another story〜 IF
第16話 魔人ケッセルリンク
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そして それだけにとどまらず、己自身も闇と同化し、まるで霧状になる事も出来る。元々無敵結界があり 防御の面においては死角がない魔人においてケッセルリンクは無敵結界以前に、全ての物理・魔法攻撃を受け流す事が出来る能力を持っているのだ。
 故に『夜のケッセルリンクは無敵』と魔人の間でも恐れられている程だった。

「成る程。……お前の中に既に踏み込んでいたと言う訳、か。納得した」

 ゾロも理解した様に頷いた。
 今日は色々な事があった。ホーネットやエール達との出会いも然り。色々と考え事をしながら空を泳いでいたらの結果。つまり不注意な自分が悪いと言う事だ。如何に闇状とは言え、触れる事が出来ない状態とは言え、魔の気配を感じる事は出来るのだから。散漫だったと認めるしかない。

「それとな、君がここにきていると言うのは判っていた。……ホーネットの様子を見ていればよく分かる。ここにきていると言う事くらい。それが判らなければ、ここまではしないよ。無限にする事は出来ないのだからな。会う理由は、また君に会いたかったから。それだけでは不満、かね?」
「いや、不満ではない、が 少々妬かれるのではないか?」

 ゾロは、少し含み笑いをしながら周囲を見た。
 ケッセルリンクの口からはっきりと『会いたかった』と告げられた時。どうしても隠し切れなかった様で、数人の視線が一気に集まるのを感じたからだ。

「ふ……。使徒たちの非礼は私が詫びよう」

 ケッセルリンクは、表情こそは変わらないが、使徒たちを愛おしそうに見た。
 まるで落ち着かせる様に。ゾロの言葉もあるが、何よりケッセルリンクの視線が一番堪えた様で、使徒の数人が慌てて謝罪の言葉を書けながら頭を下げる。
 ゾロは、『別に問題ない』 と一言告げた後。

「それに、ここまで凝らせた歓迎だ。不満があろう筈も無いだろう? その相手が例え魔の者であったとしても」
「君ならそう言ってくれると思っていたよ」


 そして、暫くの談笑の後――気付けばメイドたちは姿を消していた。
 いや、1人だけ残して。

「……来なさい。ファーレン」
「……はい」

 残ったのはファーレン。8人の使徒の内の1人であり、最も若くもある。少し表情が下がり、恥ずかしそうにしているところを見ても、まだまだ慣れていない面があるのが判る。他の者達と比べてみれば一目瞭然だ。場数の違いがここまではっきりわかる。

「すまない。君をここに呼んだのは、彼女の願いでもあるのだ」
「? 願い?」

 どういう意味だろうか、と聞く前にファーレンがゆっくりとお辞儀をした。

「あの時も言わせていただきましたが、申し訳ございません。もう一度、言わせてください。あの時――私の命を救ってくださり、本当にありがとうございました。
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