第1章 春秋戦国時代〜不知而言不智、知而不言不忠〜
プロローグ
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あれ、なにか声が聞こえる。
うお、巨人だ! 巨人がいるぞ! って、俺が小さいだけか。
巨人の男が、俺に近づいて、抱きかかえた。
何か、よくわからない言葉をいっているが、とりあえず、俺は助かるのかな?
そう思ったら、急に眠くなってきた。ずっと泣きっぱなしだったからね。
「――――!」
男の声を聞きながら、俺の意識は闇に落ちた。
◆
「父さん、いままでありがとうございました。御仏の教えに従い見聞を広めるために、外の世界へと旅立ちます。どうか、天から見守っていてください」
父の墓の前で、宣言する。
ああ、生まれたあの日からもう30年も経つのか。
おぎゃあと生まれて捨てられた日、拾ってくれたのは、修行僧の父だった。
彼は、俺を寺に連れて帰ると、養子にしてくれた。
銀髪オッドアイの不気味な俺を差別せず、ときに厳しく、それでも愛情を持って育ててくれた。
すくすく育った俺は、修行を積み、精神が鍛えられ、見違えるほど立派になったと父が絶賛してくれた。でも、父に比べれば俺なんかまだまだ未熟。
教えてもらいたいことが、まだいっぱいあったのに。
いかん、涙を流すんじゃない。父がいたら、修行が足りぬと言われるだろう。
御仏は信じるが、神は全く信じていない。や、存在は信じるけれど、敬えない。
だってさ、転生のときの話と全然違うんだもん。
「なんで、中華風ファンタジー世界なんだよ」
俺は確かに「戦国時代に行きたい」っていったのに、どうも言葉も風習も古代中国っぽいんだよね。文字は漢字だし、言葉もそれっぽいし。前世の記憶が邪魔して言葉の習得に手間取るかと思ったけれど、存外この頭は優秀で、すぐに覚えられた。
けれども、髪が青かったり赤かったりする人間が平然と存在していて、権力者に女性が多いと言われたら、俺のいた世界でタイムスリップしたわけではあるまい。
したがって、中華風ファンタジー世界と結論づけた。
ただ、転生チートだけは、問題なかった。むしろ、強力すぎてびびってる。
まず、鑑定スキル。ファンタジーでは定番だよな。人物鑑定から物品鑑定まで幅広く使える。使いまくって熟練度を上げたら、すげえ便利に化けた。
次に、チートな身体。戦国時代で槍働きをしたかったから頼んだ。驚いたことに、武力だけではなく、知力も上昇していた。これは神に感謝してやらんでもない。
最後に、銀髪オッドアイ。捨てられたトラウマから、あまり好きではない。でも、類まれなるイケメンらしい。あまりうれしくない。髪の色は、中華風ファンタジー世界らしく色とりどりなので、俺の銀髪でも目立たない。両親が銀髪だったら、
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