第二章
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部長は当然ながら三年生の人がなったが。
ポジション及び打順はだ、部活がはじまってから運動能力や野球の実力を厳密にチェックした結果。
「井伊さんピッチャーお願い」
「やっぱりピッチャーは井伊さんよ」
「井伊さんしかいないわ」
「何といってもね」
彼女しかいないというのだ、そして。
打順もだ、お決まりの展開だった。
「四番頼むわね」
「一番打つしパワーもあるから」
「四番お願いするわね」
「主砲になってね」
「わかったわ、何か私ってね」
ここでこう言った奈菜だった。
「野球したらね」
「エースね」
「それで四番ね」
「四番エースね」
「それが井伊さんなのね」
「そうみたいね、けれど皆が頼ってくれるなら」
それならとも言う奈菜だった。
「やらせてもらうわね」
「創部曹操練習試合決まったし」
「そっちでも頑張ってね」
「四番エースとして」
「宜しくね」
「そうさせてもらうわ」
奈菜は笑顔で応えた、そしてその試合で早速だった。
相手チームを四安打で完封し自分はホームランを二本打った、それで勝った。高校になっても奈菜はやはりエースで四番だった。
だがそれでもだ、奈菜は試合の後でこんなことも言った。
「前に弟に言われたの」
「何て言われたの？弟さんに」
「いや、投げて打てるのはね」
野球においてというのだ。
「それは何故かっていうと」
「どうしてなの？」
「胸がないからって言われたのよ」
眉を顰めさせて言うのだった。
「それでなのよ」
「胸なの」
「胸のことを言われたの」
「それは余計よ」
眉を顰めさせたままでの言葉だった。
「胸がないのはね」
「野球とは関係がない」
「そう言いたいのね」
「そうよ、胸があってもなくても」
どっちでもとだ、強い声で言う奈菜だった。
「野球には関係ないでしょ」
「それでなのね」
「弟さんのその言葉は嫌なのね」
「どうしても」
「ええ、本当に腹が立って怒ったけれど」
その弟にだ。
「もう二度とね」
「言わせない」
「そうだっていうのね」
「ええ、胸は何時か大きくなるから」
このことはこれ以上はないまでに強く言った、四番エースもこのことは気になるのだった。
高校生になっても 完
２０１８・６・１９
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