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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#54
FAREWELL CAUSATION]W〜Ragnar?k Bastard〜
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 ソレがどれほど途轍もなく重いものなのかを、
他の誰よりも解っていたから。  
(ルルゥ、ゴメン……
私、何も変わってなかったよ……)
 アノ()の生きた世界、アノ娘が笑っていた世界。
 だから、護りたかった。
 何がなんでも、護りたかった――
『クックックック……!』
 絶望に沈鬱となる箱舟の中に、不敵な笑いが零れ、
『ギャーーーーーーーーハッハッハッハッハッハアアアアアァァァァァァァァァ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!!!!!』
すぐに鼓膜を劈くような狂声が硬質の繭をビリビリと震わせた。
『どいつもこいつも辛気クセェ(ツラ)しやがって!
タマ抜かれた小犬みてぇじゃねーか!
あ? 女二人と女みてぇな男じゃあしょーがねーかッ!』
「このバカ……!」
 周知の事ながらデリカシーの欠片も無い、
それに傍らの少年がどれだけ傷つくのか解っていない魔狼に対し、
美女がいつものごとく鉄槌を振り下ろした瞬間。
「あ、れ……」
 肩から外れたレザーベルトがバラリと肌蹴(はだ)け、
開いた本、グリモアが空振りに踏鞴を踏む背に覆い被さる。
「ちょ、ちょっとマルコ! こんな時にフザけ」
()りもしねーでケツ捲るよーなヤツらはすっこんでろや。
よく視ろよ、い〜い真王(おんな)じゃねーか』
 危うい昂りに浮かされた声と同時、
開いたグリモアの内部がより蒼く発光し、
ナニカが無理矢理潜行するような感覚を以て
美女の躰に沁み込んでいく。
「あ……」
 途切れた声と共に瞳を閉じたのも刹那、
瞬間、再度開いた双眸がギラリと散大し、
明らかに別モノと成った存在が傍の少年を射抜く。
「ミス、マージョリー……」
“彼”が「彼女」に危害を加えるなど在り得ないが、
それでも異様な雰囲気を払えないまま呼び掛ける少年に、
(ちげ)ェよ。カキョーイン。
「今」は“オレ”だ。蹂躙の爪牙、マルコシアスだ」
 声はそのまま、しかし内部の人格が切り替わったように
気配も威圧も能力すら変わったという変貌を否応なく見せつける。
 同じ光景を香港で一度視た事がある、
だが違うフレイムヘイズというだけでこうも――
「“霞現(かげん)ノ法”で、ありますか……でも何故このような時に」
 紅世の禁儀、宿っている王が本体と「存在ごと」入れ替わり
フレイムヘイズと成る、いわばスタンドとは『逆』の能力。
 元は、卑劣な紅世の王が眼を付けた人間を支配すると同時に
己の「身代わり」、苦痛も恐怖も絶望も全て負っ被せる為に
生み出された邪法。
 アラストールはソレを遣う事を躊躇っているように見受けられたが、
眼前の蹂躙の王はコレを嬉々として行っているように想える。
「ついて来いやカ
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