第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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ル定夫が長いため息もう一発。
幸美は、ぎろりと兄の顔を睨み付けた。
「くさいよ兄貴! 歯を磨いて沸かしたての熱湯でうがいするまで呼吸すんな!」
相変わらずの、兄への毒舌。
一メートルは離れているが、精神的に臭うのであろう。
「ふーーーーーーーーーっ。嗚呼、感無量」
「このブタ全然聞いてねえーっ!」
「エンディング曲が、敦子殿の作った、おれたちのオリジナル曲に変わったか。……凄いな、テレビアニメの曲に採用されちゃうなんて」
「アツコってえ? ああ、オタ仲間の?」
「その通り。えややっ、違うっ、敦子殿はアクトレスでありアーティストなのだ、お前ごときと一緒にするなあ!」
「『おれごときと一緒』でしょ! あたしがオタクかのようないい方すんなバーカ!」
「まあ、おんなじ血は流れているわけだが。まるまる入れ替えて問題ないくらいの、互換性のある血液が」
フッ、と笑う定夫。
「あー、抜きたい! この血を全部入れ替えたいっ! 小暮俊悟君とかキンジャニの高城兼敏君とかとっ」
なんの話をしているのかというと、オタ兄と同じ血液が妹にも流れているということだが、大事なのはそこより一つ前の部分。
定夫がいった通り、「魔法女子ほのか」のエンディングテーマが変わり、なんと定夫たちが作ったオリジナル版の曲が使われたのである。
沢花敦子が作詞作曲を手掛け、歌った、原盤をそのままだ。
フルサイズと、テレビアニメ用サイズ、契約時に二つの音源を渡しているが、当然今回使われたのはテレビアニメ用サイズだ。
定夫は、録画していた今回の話を再生、エンディングを頭出しして、流れるテロップを改めて確認した。
「作詞 作曲 編曲 歌 ほのか制作委員会」
ちょっと残念といえば残念か。
権利譲渡の契約をするにあたり、設定資料と動画データだけでなく、効果音や、歌など、あるものはすべて渡している。「甲がすべての権利を有する」という契約をかわしている以上は、なにをどう名乗り、どう使うおうとも、それは向こうの自由。仕方ないというものではあるが、残念というか、ちょっと悔しい。
しかしまさか、曲を原音のままで、まるまる使うとは思ってもいなかった。
選んだ楽器の数が少なくて、しっかりした編曲を組みやすかったにせよ、それ以前、それ以上に、いかに敦子の曲作りの才能が優れているか、歌声が優れているか、ということなのであろう。
また、実際に打ち込みを担当した八王子の力量が優れているということなのだろう。
ぶーーーっ、ぶーーーっ!
携帯電話が振動し、メールの着信を知らせた。
「ほのか、生き返りましたああああ
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