第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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前方に、あおい、しずか、の二人を見かける。
声を掛けようとするが、どうしても掛けることが出来ず、電信柱に隠れてしまう。
俯いて、胸をそっとおさえる。
♪♪♪♪♪♪
生きてくっていうことは
辛く悲しいものだけど
♪♪♪♪♪♪
子供の頃の、ほのかと、あおい。
まだ幼稚園くらいか。
走り回って、
落書きして、怒られ、
川で遊び、
男の子にいじめられるほのかを、あおいが庇い、
蜂の巣をつついて、刺されて二人で泣き、
ぎゅっと手を繋ぎ、満天の星空を、二人で見上げる。
♪♪♪♪♪♪
それでも地を踏みしめて
歩いてくしかないよね
♪♪♪♪♪♪
雨が上がっている。
ほのかは傘を閉じ、元気の無い足取りでまた歩き出す。
水たまりだらけの道を。
♪♪♪♪♪♪
笑えるって素敵だね
泣けるって素敵だね
もう迷わず
輝ける場所がきっと
待っているから
♪♪♪♪♪♪
はっとした顔で、ほのかは立ち止まる。
笑顔のしずか、ひかり、
気まずそうな顔の、あおい。
あおいは、しずかに背中を押され、とと、と前に出る。
真っ赤な顔になって、ほのかへと深く頭を下げると、照れを隠すように笑った。
♪♪♪♪♪♪
見上げれば青い空
大地には花 風は静か
永遠の中
♪♪♪♪♪♪
どうしていいか分からず、一瞬、顔をそむけるほのか。
俯いていた顔を上げ、微笑む。
瞳を潤ませながら、傘を投げ捨て走り出す。
溶けるような笑顔で、あおいの胸の中へと飛び込んだ。
夕暮れ、
逆光に浮かぶ、四つのシルエット。
♪♪♪♪♪♪
出会えたこの奇跡に
小さな花が心に咲いた
♪♪♪♪♪♪
フェードアウト。画面が、すーっと真っ黒になる。
2
「ふーーーーーーーーーっ」
山田レンドル定夫は、長い長いため息を吐いた。
ラーメン屋の換気のような、妙に脂ぎった息が噴き出して、オカッパの前髪をぽそぽそっと揺らした。
ここは、山田家の居間。
横付けされたソファには、妹の幸美が座っている。
二人で、今週のほのかを観ていたところだ。
定夫については、どうでもいいどころかハンマーで頭を叩き潰したいくらいに嫌悪している幸美であるが、その兄の生み出した作品が企業に買われてテレビアニメになったともなれば、こうした光景もまあ不思議でもないだろう。
「ふーーーーーーーーっ」
兄貴、レンド
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