第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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!」
大爆笑。
あおいが苦しさと可笑しさの混じった顔で、大声で笑いながら地面をがりがりと引っかいた。
やがて仰向けになり、スカートだというのに足を広げてバタバタ、両手で腹を押さえてなおも笑い続けた。
「あおい、ちゃん……」
状況が理解出来ずすっかり呆けた顔になっているほのかの、肩がまたびくりと震えた。
「し、しずっ……」
いつの間にかしずかが上体を起こし、おままごと座りで、静かに微笑んでいたのだ。
さらには、
「よっと」
掛け声とともに、黄色い魔道着の魔法女子が元気よく跳ね起き、地に立った。
「ひか……」
まだぼおーっとしているほのかに、とどめの一撃が炸裂した。
「ひでえめにあった畜生っ! でっ、倒したのかあ?」
地中から、猫の妖精ニャイケルがぼこおんと飛び出してきたのである。
なにがなんだか分からず、きょとんとしているほのかであったが、やがて、目を白黒させはじめ、そして、
「え、え……ええーーーーっ!」
アゴが地面に突き刺さりそうなほど大きく口を開き、叫んでいた。
仰向けゴロゴロようやく爆笑のおさまったあおいが、まだおかしそうな顔で、立ち上がった。
青い髪の土埃を、両手で払いながら、
「バカだなあ。あたしらが、あんな程度で死ぬわけ……って、お、おいっ、ほのかっ!」
あおいの青い魔道着に、ほのかが飛びついて、ぎゅうっと抱き締めたのである。
ほのかは両手を伸ばし、しずかとひかりをそれぞれ掴んで引き寄せると、大きく腕を回して、三人全員をまとめて抱き締めた。
笑っていた。
ほのかは、笑っていた。
あおいたちに、頬をすり寄せ、
ぼろぼろと、大粒の涙をこぼしながら、
空気にとろけてしまいそうなほどの、幸せそうな笑顔で、笑い続けていた。
澄み渡る青い空に、太陽がやさしく輝いている。
ピアノ、弦楽器の音が静かに流れ出し、
画面に、「声の出演」と字幕が表示された。
エンディングである。
画面下に歌詞が出る。
♪♪♪♪♪♪
そっと目を閉じていた
気付けば泣いていた
♪♪♪♪♪♪
自分の家の、二階の窓から、ほのかが両手にほっぺたを乗っけて、夜空を見上げている。
なんだか、寂しそうな顔で。
♪♪♪♪♪♪
崩れそうなつらさの中
からだふるわせ笑った
♪♪♪♪♪♪
セピア色の画面。
雨が降っている。
制服姿の男子女子が、傘を差して道路を歩いている。
ほのかもその中の一人であるが、彼女だけカラーで描かれている。
肩を落とし、辛そうな顔。
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