第十二章 魔法女子ほのか最終回 そして
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る。
苦痛に顔を歪めるはるかと正反対の、涼しい顔で。
はるかの顔や手足、皮膚の露出した部分は、すっかり水分がなくなってがさがさになり、それどころか、ところどころが黒く焼け焦げていた。
ダークシルバーの魔道着がすっかり防御力を失って、まとっている者の身体を守れなくなっているのだ。
どれほどの苦痛が身を襲っているのか、はるかは意味をなさない言葉をでたらめに叫びながら、ばたばたともがき続けた。
腰をぐいぐいと捻って、なんとか逃れようと必死に暴れるが、だが彼女の四肢は透明な枷でがっちりと固定されて、どうあがいても逃れることが出来なかった。
彼女の身体が、ひからびていく。
水分を失ってがさがさになった黒い部分など、いつ燃え始めても不思議でないくらいであった。
その黒い部分が、どんどん広がっていく。
どんどん、醜くなっていく。
朽ちていく。
冷たい表情でダークシルバーの魔法女子の滅びを見つめ続けていたほのかの目が、はっとしたように見開かれていた。
「ほのか……ちゃん」
はるかが、あどけない、苦悶の表情で、救いを求めるように、ほのかを見つめていたのである。
それは、転校してきたばかりの、
ほのかたちに溶け込んで、仲良くなった頃の、
あの顔であった。
そんな、無邪気な彼女の顔が、今、黒くすすけ、ひからびて、業火に焼かれている。
滅びようとしている。
「はるかちゃん……」
ほのかは、ぎゅうっと目を閉じ、首を小さく左右に振った。
青い空。
太陽が、遥か遠く、遥か高くに、さんさんと輝いている。
まるでずっとそうであったかのように。
だが、地上に視線を落とせば、そこには現実があった。
ダークシルバーの魔道着と、その下の肉体がすっかり焦げ、ただれ、身を襲う地獄の苦痛に、うずくまり、涙目ではあはあと息を切らせている、魔法女子はるかの姿が。
痛みと惨めさとがないまぜとなった表情で、ぎぎゅっと強く地面をかきむしった。
と、その時である。
一陣の、旋風が巻き起こると、
そこに立っていたのは、黒装束の男と、半身半馬の怪物。
魔帝ジャドゥーグに仕える副将軍サーガイトと、その手下であるマーカイ獣である。
黒装束、サーガイトのマントにくったりした様子でくるまれ、はるかはかぼそく呼吸をしている。
現在、はるかたちの天《てん》窮|界と、魔帝は、共同戦線を張る関係なのである。
とりあえず助けにきた、ということであろう。
「やれっ、マーカイ獣ヒヒンマ!」
サーガイトの命令と同時に、馬に似た怪物であるマーカイ獣ヒヒンマが、ほのかへと襲いかかる。
凶暴そうないななきを発しながら
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