一匹め
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以上にきつかったレッスンを終え、帰路につく。
「あ"あ"あ"…つかれた…」
やっぱりちゃんと寝ないとな…
でも何故か最近夜になるとテンション上がるんだよな…
そのせいで眠れないし…
くそっ…睡眠薬でも処方してもらおうかな…
ふと上を見ると、未だ低いながらも月が昇っていた。
満月だ。
「綺麗な満月だなぁ」
ふと呟いたこと。
「ええ、そうね。堕ちた聖人の末裔さん」
「!?」
後ろから声が聞こえ、振り返った。
「今晩は。天草不知火くん」
女だった。
黒いスーツに身をつつみ、その手には長い棒を持っている。
「うーん。『天草』に『不知火』かぁ。
出来すぎな名前だねぇ」
おっとりとした声。
「その身長から考えて先祖返りかな?
はー。吸血なしでもここまで大きくなるんだねー…」
女は左手に持った棒に右手を添えた。
「だ、誰だよあんた?」
「んー?私?」
刹那。女が右手を振り抜いた。
月明かりに照らされて、何かが煌めいたような気がした。
「私は陰陽師さ。君に恨みはないけど、仕事なんだ。
ごめんね吸血鬼君」
急に体から力が抜けた。
熱い。
体がとてつもなく熱い。
「流石は不知火検校の末裔。聖剣でも滅っせないとは」
熱い…でも、寒い…
「かわいそうに、下手に力があるから苦しむんだね」
心臓が…寒い…冷たい…
「一思いに殺ってあげよう」
足音が、聞こえる。
見上げる満月をバックに、さっきの女が俺を覗き込んでいた。
その手に握られていたのは、刀だった。
「君の来世が人外じゃないことを願っているよ」
女が、その刀を、振り下ろした。
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