最終章:夢を追い続けて
第72話「想い起こした夢を追う」
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=秋十side=
―――手応え、あり。
体が痛む中、俺は確信してそう思った。
桜さんとの戦いの中、俺はパズルのピースが一気に当てはまっていくかのように、自分でも驚くほど飛躍的に強くなった。
おそらくはアドレナリンの分泌が云々的な事による一時的なものだろうが、そのおかげで確かな一撃を桜さんに与える事に成功した。
「(……初めて見たな。桜さんが膝をつく所)」
思い返せば、桜さんはいつも堂々としていた。
まさに大胆不敵。そんな態度の桜さんが膝をつく所なんて想像できなかった。
事実、今まさに膝をついているのも、演技ではないのかと思えてしまう。
「(でも、それはありえない)」
反動で痛む片手を体で後ろに隠すようにしつつ、考えを自分で否定する。
俺が撃ち込んだのは、恭也さんに教えてもらった御神流の技術の一つだ。
当たった所から相手の体内に響く衝撃を徹す技。それを掌底で直接体に叩き込んだ。
並の人間なら最低でも内蔵に傷がつく一撃。
いろいろとオーバースペックな桜さんだからこそ叩き込める威力で叩き込んだんだ。
……これで効いていなかったらそれこそ化け物なのかと疑ってしまう。
「っぁ、げほっ、ごほっ!?」
「(効いていたか……)」
だけど、そんな心配は杞憂に終わった。
桜さんは咳き込み、掌底が当たった所を押さえていた。
「今のは……御神流か……」
「……基礎だけ、習得しておきましたから」
むしろ、俺はこれだけしか習得できなかった。
普通に斬るのではなく、引きながら切り裂く“斬”。
防御をすり抜けるように防御や回避を見極め攻撃を繰り出す“貫”。
音と気配を探り、暗闇であっても敵の位置を捉える“心”。
基礎である御神流の技は“徹”以外にもこの三つがあった。
桜さんに勝つために、覚えておきたいのは“徹”と“貫”の二つだったのだが、俺には才能がないため、“徹”に絞ってようやく習得までこぎつけたのだ。
それも、攻撃の最中に混ぜることはできず、隙を作って一撃だけに限定しなければ放てないほど、まだまだ未完成の領域だった。
「(それでも、当たれば通じた)」
これを戦闘中に織り交ぜてくるから恭也さんたちは恐ろしい。
「……それだけじゃない。さっきの連撃……繰り出したタイミングを考えるに、“すぐに繰り出せる”だけでさらにその上があるな?」
「さすが桜さん、わかりましたか」
そう。七重之閃はあのタイミングで放てるもので最大の技ではある。
だが、そのタイミングさえ整えれば、それ以上も放てる。
「(でも、桜さん相手にそんなチャンスな
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