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=体育祭編= セレクト・アウト
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に氷柱を発生させることに全神経を集中させた。昔の忍者のような超人的速度と判断力で跳ねまわる水落石をひたすら追撃する。
 追撃、追撃、追撃。跳ねた先、避けた先、隙間に入った先、全部だ。轟音を立ててフィールドが巨大な氷柱に反り立ち続ける。

『轟、攻撃が当てられないと見たか質より量の氷絨毯爆撃ぃぃぃーーーッ!!いや下から生えてきてるから地雷か!?』
『どっちでもいい。水落石だってスタミナはあるんだ、あんな出鱈目な動きいつまでも続けられないなら数で攻めるのはあながち有効かもしれん』

 そんな実況を聞いて、轟は確かにと思った。今の水落石の運動量は常識的には考えられないレベルに達している。飯田のレシプロとて絶大な速度と引き換えに時間制限があったのだ。個性は無限には続かない。ならば水落石の速度もどこかで落ちる筈。

 しかし、水落石は空中で氷を蹴って反転するような曲芸じみたジクザグ跳躍をひたすらに繰り返し、速度が落ちない。馬鹿な、どんな理屈だ――そう理不尽ささえ感じた轟は、ふいに水落石の表情を垣間見た。速度差が酷くて今までは見えなかったが、慣らされた目はそれを見た。

 水落石は、滝のような汗をながしながら苦悶の表情を浮かべている。
 それは今を乗り切ろうという必死さではなく、今まさに首を絞められているような焦りが垣間見えた。

「まさか――個性の暴走。止められないのか、水落石!?」

 強力な異能である個性は、特に初めて発現した際は扱い方が分からず暴走してしまう事もある。大抵の場合、子供の個性は貧弱なので大した騒ぎにはならないが、時に強力な個性で大事故を引き起こしてしまうこともある。成長しても個性をコントロールしきれないと緑谷の腕のようにバキバキに折れてしまったり、個性の暴走は命がかかる。そして意図的にしたならば意図的に止められるが、意志に反する暴走を自力で止める事は困難を極める。
 あのままでは、限界を超えた水落石の体は負荷に耐え切れない。いや、今既に過剰なのだ。

 助けなければ――倒すという発想を通り越し、轟はそう強く感じた。

「だったら、これで!!」

 更に力を絞り出し、物理的に水落石を外から中へ、今まで遠ざけるように使っていた個性を招き入れるように使う。個性暴走のせいか攻撃に偏重している水落石の体は次第に轟の方へ近づいていった。招き入れられている事には気付いているのだろうが、体が言う事を聞いていないお陰で互いに助かったようだ、と轟は思う。

 やがて轟に攻撃するしか方法がない状態になり――水落石が出鱈目に投げた氷が体に命中しながらも踏ん張って耐え続け――しびれを切らしたように頭上に躍り出た水落石を、轟は個性で拘束した。

 動き回る敵を捕らえるのは困難だが、ただ一か所に来るのを待っていれば難易度はぐっ
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