★その隻眼に映るものは(クラリッサ)(裏)【夜の部】
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(その銘柄は…………)
確か私が、冗談半分で飲みたいと言っていたボトルだ。
「そんなモノどうしたんだ」
「別に。俺が飲みたくなったからお裾分けでもしてやろうとな」
そのとってつけた理由に苦笑する。
普段、5ユーロのサンドイッチセットで済ませる男が、理由もなく1000ユーロを越える酒を買うとか信じると思ってるのか。
太郎の思惑を感じながらも、嬉しさで高鳴る胸が腹立たしい。
「ふん、なら遠慮なくご相伴に預かろうか」
そう言うと、クラリッサは空にしたビールグラスを太郎側に押し出した。
飢えを満たし、簡単にシャワーを二人で浴びた後、下着姿で何となくテレビをつけて見る。
テレビでは良くあるデスゲームみたいなモノがやっており、丁度クライマックスでヒロインを生かすために主人公が死ぬシーンが放映されていた。
「あの主人公をどう思う?」
「事前準備と対策が足りないな。勇気は買うが、まだ終わりが見えていないデスゲームで無責任に死ぬのはどうかと思う。ヒロインどうすんだよ」
その返答に思わず苦笑する。相変わらず、太郎は『太郎観』としか言えない作品の見方をする。
「お気に召さないか?」
「このような作品を好む人を否定したい訳じゃないがね。最近『とりあえず上から神様目線でデスゲームすれば良いか』という作品を見続けたせいか、どうも好きになれない」
そう言って物語に没頭し、眉間に皺を寄せる太郎の胸になだれかかり、クラリッサは一口サイズに切ったジャーキーを太郎の口に入れた。
あ、多分今、太郎は『この場所に俺がいたら、余裕でデスゲーム主催者始末できるのに』とか考えてるな。
口だけモグモグ動かしながら、目は画面から離さないそれを見てクラリッサは『それ』を可愛らしく感じた。
暫くそのままクライマックスシーンまで見る二人。
終わったあと、クラリッサは太郎の首に手を回しながら、囁くように聞いた。
「ねえ…………もし私が軍人辞めたいとか言ったらどうする?」
そう尋ねたクラリッサに、間を置かずに太郎は答えた。
「そうだな…………その時は俺が仕事を斡旋してやるよ」
そう口にする太郎に、体の向きを替えて顔を向き合わせながらクラリッサは続ける。
「永久就職の?」
「永久就職の」
そう、二人で同じ言葉を口にした後、二人はどちらともなく唇を合わせた。
最初の態勢としてはクラリッサがやや上方だったため、クラリッサは太郎の腰に手を回しながら、唇と舌で太郎の口内を攻めた。
ちゅっ……ちゅぷ……
互いを高めるために、互いの口内を責めるという強引なキス。
互いの思いやると言うよりは、互いの愛を『ぶつける』キス。
互いが互いの口
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