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ONE PIECEを知らないエヴァンジェリン中将が原作を破壊するようです
第1章 ネオオハラ・イン・ブリザード
第3話 CP9 オハラより愛をこめて
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すぎた。


 とはえいえ、あくまでも "もし" 発動されればの話だ。
 まだスパンダインは決定的な証拠をつかんでいるわけではない。
 これまでバスターコールが要請されても実際に発動しなかったケースもある。
 戦争というのは政治の延長であり、外交と戦争は複雑に絡み合っている。


 とくに樹齢5000年ともいわれるオハラの全知の樹は、唯一無二の希少遺産である。
 そのことは世界政府も重々承知している。
 なにせ、五老星自ら通信により対話をしようというのだから。

「バスターコールに参加してやろう」

 ほう、正直断られることも覚悟していたのだが。

「フン、今の世界政府がベストだとは思わん。だが、ベターではあるだろうよ。奴らはよくやっている。老人どもも骨を折るようだしな」
「その言葉、できれば五老星の前で言ってほしかったな」
「そこまでのサービスはできんな――エヴァンジェリン中将、任務を確かに拝命した。これより現場へと向おう」
「ああ、よろしく頼む。それと、実際に発動を指示するのはセンゴク大将になるだろう」
「……厄介ごとは新任の大将へ押し付けるか?」
「いや、彼を信頼しているからこそだよ。よい実績作りの機会でもある」
「その言葉、今は信じてやる」

 最後に聞き忘れていた。
 万一、オハラ全域にバスターコールが発動されてしまったら、どうする?
 そう尋ねると、エヴァンジェリンは凄みのある雰囲気へと変えて吐き捨てた。

「愚問だな。そのときはオハラの馬鹿にはキツイお灸が必要だろうよ。"誇りある悪" と "世界の敵" ……勝つのはどちらだろうな?」
「女子供は殺さない、のではなかったのかね?」
「……」

 沈黙する。踵を返しそのまま退出するかに思えたが、背中を向けつつもつぶやくように声をだした。

「この世界は、アニメじゃない。本当のことさ。嫌というほど思い知らされたよ。奇跡も、魔法もないんだよ。 それだけだ」

 謎の言葉を残し、彼女は振り返らずに去っていった。




 海軍本部中将が座する大型艦が艦隊を組む。
 マリンフォードを出発し、西の海(ウエストブルー)へと向かう艦列は壮観だった。
 緊張した様子で大勢の海兵が乗り込んでいる。
 抱く胸中は様々だった。
 ある者は正義に燃え、ある者は野望を秘め、ある者は諦観し、ある者は恐怖に震えた。


 合計10隻もの戦艦が向かう先は――考古学の島、オハラ。

「本日天気晴朗なれども波高し、と言ったところか」

 甲板に立ち気だるげにつぶやいたのを聞いた副官が尋ねる。

「上手いたとえですな」
「……聞かなかったことにしてくれ」

 なぜか嫌そうな顔をして訂正した少女こそエヴァンジェリン中将だ
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