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ソードアート・オンライン〜剣と槍のファンタジア〜
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2章 生き様
17話 討伐
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く。アスナにとって唯一の武器であり、頼りになる存在。それがなくなった今、アスナはただ無力の存在だった。敵が粘つく気味の悪い笑顔をその顔に張り付け、剣を思い切り振りかぶる。


 アスナのHPはまだギリギリグリーンなので、クリーンヒットを貰っても恐らく全損することはないが、衝撃は苦し、何より、剣を振りかぶられたこの状況は恐怖以外の何物でもなかった。


 アスナは硬直し、目をギュッとつぶる。だが、予想していた衝撃はなく、その代わりに響いたのはポリゴンが散る音だった。


 その音は、洞窟全体に響き渡り、一瞬にして洞窟内を満たしていた騒々しい音は一切消える。いや、止めざるを得なかったのだ。



 入り口からゆっくりとした足取りで入ってくる2人のプレイヤー。その周りは、明らかに違う空気が取り巻いている。この世界で最強と言われる2人。



「遅くなってごめんね。ちょっとダンジョンで抜けられなくなっちゃって」

 まるでカフェで待っている友達のもとへ、待ち合わせ時間を過ぎてやってくるような、自然体。そこに異常性のあるなにかは一切感じ取れないが、今この場所ではそれが異常だった。





「それで?あんまりよくない状況そうだけど」


 現状を報告しようとアスナは口を開くが、恐怖か驚きか、はたまた安堵のせいかはわからないが、のどが張り付いて声が出なかった。

 だが、アスナの返事を待たずに、彼女は状況を把握したようだった。


「なるほどね…。ツカサ君、ちょっとここお願い。奥に行ってくる」
「ああ。俺もすぐに行くよ」






 リアは軽い足取りで奥へと歩いていく。それは、今さっき人を殺したとは思えない冷静さだった。
「…大丈夫か、アスナ」


 “あの事”があってから、ツカサはアスナへの接し方がよくわからなくなってしまった。こちらがこんな態度だから、アスナも気まずくなってしまうのだろう。ツカサは努めて平静を装う。


「うん…」


 自分を抱きしめるようにアスナは体に手を回す。ツカサはただそれを見守ることしかできなかった。今の自分に、彼女に何ができるというのだろう。







 この後、ツカサは激しく後悔した。もっと自分が周りを見ていれば、こんな惨事にはならなかっただろうから。


 




「…立てるか?もしあれなら外に出てもいいと思うけど…」

「ううん…私はこの作戦の責任者よ。ここで引くわけにはいかない」

「…そうか…」


 



 あくまで気丈にふるまう彼女にかける言葉を探したが、結局出てこなかった。少しうつむきがちなツカサの耳に届いたのは、走る重い足音だった。それは確実にこちらに向かっ
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