オーバーロード 狼牙 2
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「ヴァイト様、朝になりました」
聞きなれない声に一瞬で意識が覚醒し、声の主を組み伏せる。
「ルプスレギナ?」
あり得ない相手を見て、周囲を窺う。ああ、そうか。リアルでもユグドラシルでもないんだったか。
「あ、あの、ヴァイト様」
「ああ、すまn「初めては優しくが良いッス」……リアルでの癖だ。すまんな」
いきなりベッドに押し倒されればそういう風に思っても仕方ないな。とは言え緊急事態に無防備になるつもりはない。ルプスレギナの手を引っ張りベッドから起こして指示を出す。
「シクスス、朝食の用意を、人化の指輪の実験が終わるまでは食事は基本的にここに運んでくれ。問題がなければ食堂を使うようにする。ああ、料理長に食材の種類を多く、だが品数は少なく、味付けは多彩に、量は一般メイドと同じぐらいで頼むと伝えてくれ」
「畏まりました」
シクススが部屋から出ていってからルプスレギナに注意しておく。
「リアルでは寝て、そのまま目覚められなくなることは多い。特に前線に近いとな。だから不用意に近づくな。それと今のような緊急事態に隙きだらけになる抱くなんて危険なことをするつもりはない」
「それはつまり、その、緊急事態じゃなければ」
「報奨としてもありえるし、気まぐれもありえる。他の者にも伝えてやれ。期待しているぞ、ルプスレギナ。ナザリックでの同族はお前だけだからな」
親指と中指と薬指を合わせて人差し指と小指を立たせて影絵で犬と呼ばれる手の形でルプスレギナの額を軽くだが突く。ルプスレギナが顔を赤くしているが、それを望んだのはルプスレギナなのだからセクハラにはなっていないよな?
日課である体操をして人間態と人狼態での差異をすり合わせる間に朝食が用意される。色とりどりのサラダに賽の目に切った複数種類の肉をモザイク状に並べたサイコロステーキに色々な干し果物を混ぜて焼かれたパン、複雑な香りから様々な野菜やガラなどから作られたであろうスープ。それらを豪華な食器に綺麗に盛り付けられた状態でテーブルに並べられる。カトラリーは人狼であるオレに合わせたのかオリハルコンの物が用意されていた。
「ふっ、リアルなら絶対に口にすることは不可能だったろうな」
席に付き、半分を人狼態で、残りを人間態で味わう。やはり姿によって味の感じ方も違うようだ。そしてすっぱい、つまり酸味は合わないようだ。人狼態ではそれが顕著だった。だが、不快ではあるがそれも楽しみである。
「料理長に酸味のキツイ物は避けるのと美味かったと伝えておいてくれ」
朝食を終えてから部屋についているバスルームのシャワーで汗を流す。これもリアルでは考えられない贅沢だ。まともに使える水など手に入っても500mlが限界だからな。それをお湯にするだけの燃料を考えると
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