第71話『昏き雷鳴』
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ない。暇さえあれば尻尾を切断し、血液を飛び散らせている。ただ厄介なことに、尻尾は飛び散った血を吸収して何度も再生してしまうのだ。
「勝つには一撃で沈めるしかないか…」
予測だが、流血させればさせるほど彼は強くなる。だから緋翼は、一撃で息の根を止める必要があると考えた。
しかし緋翼はそこまでパワー型ではなく、どちらかといえばスピード型だ。よって今しがたの発言を実行しようにも、力が足りない。せめて終夜でも居れば話が別なのだが・・・
「ううん、私だけでもやらなきゃいけない。アイツだって一人なんだから」ジャキ
果敢に奮闘する終夜を脳裏に浮かべながら、緋翼は刀を構え直す。神経を研ぎ澄ませ、次なる一撃に力を込めた。
「あぁ? 何だよそりゃ──」
「"居合い・焔の大太刀"!」ザシュッ
「おぉ!?」
先程よりも更に火力も勢いも増した一撃。膨大な熱量がブラッド目掛けて襲いかかる。焔は彼の身体を燃やし、尻尾を形成していた血液を一瞬で沸騰させ、そして気化させた。
「…がはっ。おま…やりやがったな…!」
一撃・・・とまではいかなかったが、血液を蒸発させ、かつ大火傷を負わせることができたのは大きなアドバンテージだ。怒りを露わにしながらもふらふらとするブラッドを見て、緋翼は乱れる呼吸を整えながらほくそ笑む。
「そら、もう一発行くわよ!」ゴォッ
「させ…るか!!」ガリッ
焔の太刀がトドメと差さんと振り上げられた、その時だった。ブラッドはなんと、自身の親指のつけ根の所を自ら噛みちぎったのだ。血がとくとくと流れたかと思いきや、途端にそれらは強固な血の盾へと変貌し、緋翼の一撃を防ぐ。
「…さすがにそう来るとは思わなかったわ」
「俺だってできれば使いたくねぇ手だ…よ!」ジャキ
血は瞬時に盾から矛へと変化し、その槍先が緋翼の心臓を貫かんと繰り出される。間一髪で、緋翼は身をよじることで急所は免れたものの、槍先は横腹を掠め鋭い痛みが走った。
「いった・・・汎用性高すぎでしょアレ」
「それだけじゃないぜ。今の傷から・・・へへ、ごちそうさま」ペロリ
「っ…!?」ガクッ
その瞬間、倦怠感が襲い緋翼の膝が刀と共に崩れ落ちた。頭がクラクラとし、視界がぼやけていく。間違いない、"貧血"だ。
思い起こせば、始めに負った怪我がいつの間にか止血していたが、あの大怪我が まして戦闘中に止血するはずもない。つまり、
「ようやく気づいたか。俺は血を操れるが、お前の血だって例外じゃねぇ。殴る度にちょこちょこ吸わせて貰ったぜ」
「くっ…!」
「俺は吸血鬼なんだ、血を吸って当たり前だろ? 刺激的な味だが、お前の血は悪か
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