第十一章 遥か、はるか
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り出す。地が裂け、その裂け目から、凄まじいエネルギーが間欠泉のように噴き上がった。
「この風に、光よ、輝けえ!」
ひかりが、タクトを振るうようにすっと左右の腕を振り上げた。
きらきら光る粒子が、ふわり風に舞って、しずかが生じさせた地からのエネルギーへと溶け込んだ。
融合し、触れば弾かれそうな、明らかな質量を持ったエネルギーは、うねり、風を起こし、砂塵とともに、あおいとほのか、二人の魔法女子を宙へ舞い上げていた。
「この、胸にたぎる激流とっ!」
上空で、あおいの全身が光り輝いた。
ぶん、と振るう両手から放たれた青い光が、ほのかの全身を包み込んだ。
輝く、ほのかの身体。
落ち始める、ほのかの身体。
自由落下ではない。身体から赤い粒子が噴き出したかと思うと、一瞬にして、目で追えないほどの凄まじい速度へと達していた。
「胸の奥で、ほのかに燃えているからこそ、絶対に消すことの出来ない、この炎でっ!」
ジェット機を超える速度で急降下しながら、ほのかは、魔装具を装着した右手を振り上げて、叫んだ。
黄、緑、青、赤、四匹の龍が、まとわりつくように周囲をぐるぐる這うようにうねる。
ほのかは一匹の、長い長い、巨大な龍になっていた。
「エレメンタルエクスプロージョン!」
魔法女子四人の、魂の絶叫に、龍が大きな口を開け、咆哮した。
なにをする気だ、と、驚きと興味に立ち尽くしている、魔法女子はるかの頭上へと、それは落ちたのである。
すべてが白い光の中に溶け、
わずかに遅れて、
どどおおおおおおおん、
鼓膜どころか脳味噌すらぐちゃぐちゃにされそうなほどの、凄まじい轟音。
爆風に、光の粒子が激しく噴き上がり、雲を焼いた。
ごご、ご、と低く唸る振動。それは、やがて小さくなり、
視界が少しずつはっきりしてくると、
そこは、それまで立っていた荒れた平原ではなく、巨大隕石いや小惑星が激突したかのように、大きく半球状にえぐられた、広大な地面であった。
ほのかたちの超必殺合体技、エレメンタルエクスプロージョンの破壊力である。
「や、やったんか?」
うつ伏せに倒れていたあおいは、顔を上げ、四つん這いになり、よろめきながらなんとか立ち上がった。
すぐ近くで、ほのかが、ぜいぜい息を切らせ立ち上がりながら、
「て……手応えは、ありました」
息を吸うのも苦しそうな、痛みや疲労に歪んだ顔。
四人の合体技とはいえ、超高速落下で実際の攻撃を放ったほのかが、一番消耗が激しいのは当然だろう。
ただ、彼女の表情から読み取れるのは、苦痛よりはむしろ不安であった。
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