第二章
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「アカ共が攻めて来た時に」
「全くですね」
「そうなりたかったですね」
「ここで死ぬ位なら」
「それなら」
「ああ、まあ粘るだけな」
それだけだとだ、水野は周りの人達にこうも言った。
「粘ってな」
「生き残りますか」
「生きていたらひょっとしたらですね」
「状況が変わって」
「日本に帰られるかも知れないですね」
「だからな」
それでというのだった。
「生きような、こんな状況でも」
「そうですね」
「ひょっとしたら日本に帰られるかも知れないです」
「それなら」
「頑張りましょう」
武かだった者達も応えた、そうして彼等は何とか踏ん張ることにした。そうしていると本当に状況が変わった。
シベリアに抑留されている彼等の帰国が正式に決まった、水野はそのことを伝えられて跳び上がらんばかりに喜んだ。
「それはいい、じゃあな」
「はい、絶対に生きて」
「それで日本に帰りましょう」
「家族のところに」
「そうしましょう」
「そうしような、あとな」
ここでだ、水野は部下だった者達にこのことも話した。
「巨人の水原知ってるか」
「ああ、あの慶応出のですね」
「そこから職業野球に入った」
「あの水原ですか」
「その水原がどうしたんですか?」
「あいつもここにいるらしいな」
シベリアにというのだ。
「何でもな」
「へえ、そうなんですか」
「水原もここに抑留されてたんですか」
「それでアカ共にこき使われてるんですか」
「この前聞いた、そしてな」
水野は部下だった者達に水原のことをさらに話した。
「まだ生きているらしいな」
「そうなんですね」
「水原まだ生きてるんですね」
「それじゃあ生きていれば」
「水原も日本に戻られるんですね」
「そうだろうな、まあまずは俺達がな」
他ならぬ自分達がとだ、水野は部下達に話した。
「生きてな」
「そうしてですね」
「日本に帰ることですね」
「まずは
「そうしないといけないですね」
「そうだ、だから絶対にな」
何があってもと言う水野だった。
「残った奴全員でシベリアから日本に帰るぞ」
「そうしましょう」
「そしてまた日本で暮らしましょう」
「家族と一緒に」
彼等は水野の言葉に頷いた、そうして日本に帰られるのならと踏ん張ることにした。そしてその踏ん張りが生きてだった。
水野達はシベリアから日本に帰ることが出来た、彼等は日本に戻って家族と再会し祖国での生活を再開することが出来た。
水野は東京で家族と共に暮らし商社で働きはじめた、その商社において彼はフィリピンから戻って来た者に言われた。
「水野さん野球好きでしたよね」
「ああ、大学野球の時からな」
それこそとだ、水野は年下の彼宮家秋成に答えた。彼より年下で小柄
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