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渦巻く滄海 紅き空 【下】
十二 奪還
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「【口寄せの術】…!」


白煙が掻き消える。
口寄せした相手────口寄せ動物でもなんでもなく、ナルそのものが巻物の上で座っている光景に、デイダラは呆れた声をあげた。

「おいおい…そりゃ【分身】か【影分身】か?」


デイダラを見据えながら、ナルが【影分身】の術を解く。
軽い破裂音と共に、再び巻物の上で白煙が舞い上がった。

「そんなもん、口寄せしたところで何になる?うん?」

冷笑しながら、デイダラは軽く起爆粘土を投げる。

はたけカカシを足止めしているモノと同じ、蜘蛛型の粘土が跳ねながら、ナルに向かって飛び掛かった。
【影分身】の術を解いたナルの頭上に、蜘蛛が小さな影を落とす。


「チャクラの無駄使いだ…うん!!」

デイダラの合図で、蜘蛛が爆発する。
【口寄せ】や【影分身】を解いた時とは比べ物にならない白煙が立ち昇った。


白煙の向こうを透かし見るように、巨大な鳥の上から俯瞰していたデイダラは、次の瞬間、すぐ横から殺気を感じた。
「……ぐっ!!??」

辛うじて、避けようとしたが、吹き飛ばされる。空中で体勢を整えながら、デイダラは巨鳥に合図をした。
旋回した鳥の背中に上手く着地する。

回避したはずなのに、衝撃を受けた事実にデイダラは顔を顰めた。
未だ立ち込める白煙の向こうから、声が聞こえる。


「無駄じゃないってばよ…!」

白煙が消えていくうちに、見えてくる金の長い髪。
寸前と何も変わらないだろうに、妙な威圧感を感じ取って、デイダラは無意識に身構える。


風に髪をなびかせながら、岩の壁に重力を無視して佇むナルは、不敵な笑みを口許に湛えた。




「我愛羅は返してもらう…!!」




眦に紅の色が一筋。
赤い隈取りを目元にくっきり浮かばせて、ナルは口角を吊り上げた。



















印を素早く結ぶ。直後、岩壁をナルは強く叩いた。


「【土遁・岩壁(がんぺき)十手(じゅって)】…!!」


刹那、岩の壁から巨大な手が伸びてくる。
岩で形作られた手がデイダラの乗る鳥を捕まえようと、迫って来た。


それを回避したところで、背後の岩壁から、別の手が生えてくる。
岩壁と岩壁に挟まれた場所だからこそ、攻撃しにくい場所だと判断したのに、逆にその地形を利用してきたナルの術に、デイダラは舌打ちする。


空中を巨鳥で飛び回りながら、判断を見誤った、とデイダラは己の失態を思い知り、苛立ちを募らせた。


鳥を捕らえようと、周囲の岩壁から生えている手が、掴み損ねて空を掴む。
術を発動させな
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