十二 奪還
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「ま〜たサソリの旦那に、準備不足だって怒られそうだな…うん」
はたけカカシを蜘蛛型の起爆粘土で、九尾の人柱力と上手く引き離す事はできたものの、粘土の量がもう残り僅かな事に、デイダラは思わず天を仰いだ。
目を瞑り、強がった物言いで呟く。
「しかし、あれこれ考えてチマチマ用意するのは性に合わねえ。どんな状況になろうとも柔軟な発想で対処する。それこそが芸術家としてのセンスを磨くことにも通じるってもんよ」
苦笑を口許に湛えつつ、閉ざしていた眼を開けて眼下を見下ろすと、自分を睨み据える視線の持ち主と目が合った。
九尾の人柱力───波風ナル。
強い眼光でデイダラを見上げている彼女の視線を受けながら、「うーん…どうしよ」と悠長な態度で人柱力を捕まえる算段を探る。
不意に、眼下の相手が動きを見せた。
攻撃ではない。
何事かと視線をやると、何らかの巻物を取り出している。
流れるような仕草でシュッと巻物を開いたナルに、デイダラは眼をパチパチと瞬かせた。
そうして、巻物に描かれた術式に、瞳を細める。
(【口寄せ】の術…?)
眉を顰めるデイダラの前で、ナルが巻物の術式に手を打った。術が発動する。
直後、巻物の上で立ち昇る白煙。
ナルが口寄せした相手に、警戒態勢を取ったデイダラは、思わぬ姿に眼を丸くした。
ふらり、立ち眩みを起こす。
一瞬意識が朦朧とし、ヒナタは机の端を掴んだ。ぐっと堪える。
踏鞴を踏んだ彼女を見て取って、砂の医療忍者が慌てて駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
休み無しでずっと、患者の容態を診ていたヒナタを砂忍が気遣う。
サソリの置き土産であった起爆札の爆風に雑ざっていた毒ガスを吸って、多くの砂の忍びが倒れてしまった。
その件で、ひとり砂隠れの里に残り、治療する為にナル達とは別行動を取っていたヒナタは、疲労感を漂わせながらも気丈に振舞う。
『白眼』を持つ故に、医療忍術に長けているヒナタのおかげで、毒ガスの被害に遭った患者のほとんどが快復に向かっている。
本来ならば、ナルと一緒に、我愛羅奪回を目的とした班員に加わるはずだった彼女を、砂の医療忍者は心配した。
「休憩無しのぶっ通しで治療してくださってるじゃないですか!休息してください!」
「それに、貴女のおかげでほとんどの患者が快復しています。もう大丈夫です!ここは我々に任せて…」
医療忍者に説得され、ヒナタは周囲の患者を見渡した。
確かに顔色も随分良くなっている。このまま安静にしていれば、全快するだろう。
砂の医療忍者たちに説き伏せられたヒナタは、木ノ葉増
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