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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第259話 森の家でバーベキュー大会を
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…………っ」

 玲奈は、京子に駆け寄って座ったままの母に抱き着いた。
 明日奈よりも先に玲奈が行くと言うのは少々 あれ? と思ってしまうかもしれないが、玲奈もずっとずっと姉の事を考えていたから。その想いが 直ぐに現れてしまったのだろう。
 
 京子はタブレット端末を下へ落としそうになったが、そこは何とか落す事なくキープできた。
 だが、直ぐに抱き着かれた玲奈の事を抱きしめ返す――なんてことには現実ではならなかった様だ。ため息交じりに京子は言う。

「……玲奈。貴女も もう子供じゃないんだから。もう少し落ち着きを持った方が、良いんじゃないかしら? 彼はとても礼儀正しくて、とても好青年でしょう? 見習いなさい」
「っ…… ごめんなさいっ。でも、今……今だけで、今日だけは。それだけで、良いから……っ」
「もう…… 本当に仕様のない子ね。……今だけよ」

 背をぽんっ、と数度叩く京子。それを見た明日奈は少なからず母に抱き留められている姿を見て羨ましくも感じたが、それ以上に それを遥かに上回る気持ちがあった。長年ずっと閉ざしてきた母への想い。それを姉妹で開く事が出来たと思ったから。
 それに、昨日の出来事。
 玲奈以上に自分は母と沢山語らう事が出来たのだから。


「明日奈はしないわよね? 玲奈の姉なんだし」
「っっ……、も、もう お母さんってば…………っ」


 明日奈もウズウズさせていたみたいだが、それを察した京子が 少し笑いながらそう返していた。抱き着く……までは 指摘された通りしなかったが 明日奈は京子の傍へと頭を下げた。



――ありがとう、母さん。



 本当は妹の玲奈のように母の胸に抱き着きたい。感謝の気持ちを身体全体で伝えたい。
 それと どれだけ記憶を遡っても、そこまで甘えれた記憶が見つからないのが少し寂しいから、少しだけ玲奈に嫉妬もしてしまったのは別の話だった。





 そして――軽い足取りで家を出た。昨日までの重たかった身体が本当に嘘のようだった。




 移動するときに確認するのは肩に乗っているプローブ。バッテリ残量だ。間違いなく満タンの表示になっている。それを念のため再確認した後に、携帯端末に接続。起動音が短く小さく肩の上で響くのを感じる。ユウキやラン達が走ってきてくれてる……様に感じられる音、だったりもした。実際には機械の音だから そうでもないんだけれど、そこは勢いだ。

『おはようございます。明日奈さん、玲奈さん』
『おっはよー、2人ともーっ!』

 その勢いのままに、2人の声がスピーカー越しに聴こえてくる。
 昨日と今日では、聞こえ方がまるで違う様に感じるのは、ここまで心穏やかになれた母のおかげだと2人は実感していた。

「あは
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