暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
最終章:夢を追い続けて
第71話「努力の真髄」
[5/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ギギィイン!!ギィン!ギギィイン!!

 桜はさっきまでと違い、連撃は放たない。
 秋十の言う通り、技を作った本人の前では簡単に対処されてしまうからだ。
 それどころか、反撃まで繰り出してくる。
 その事に、桜は少なからず脅威を感じていた。

「はぁっ!」

「ッ……!」

「(躱されたか!)」

 桜の放った一突きが、体ごと傾けた秋十の頬を掠めるように空振った。
 そのまま、秋十は体勢を戻すと同時に横一閃を放つ。

     ギィイン!!

「……一刀だけじゃないのを忘れるなよ?」

「っ……」

 だが、それはもう一刀を取り出す事で防がれてしまう。
 負けじと秋十ももう一刀構える。

「(……やはり、か。秋十君の防御は俺でも抜けなくなった。だが、攻撃の際は防御が薄くなる上に、防御時の鋭さが消えている。……あの状態は、受け身でないと働かないか)」

 桜は秋十の“最適化”の特徴を見抜く。
 無意識に近い状態でないとできない状態なのだから、当然と言えば当然だ。

「(しかし、それは秋十君も理解しているはず)」

「(たったこれだけで気づかれた……さすがは桜さん)」

 秋十も見抜かれている事は何となくわかった。
 互いにブレードを交えつつも、思考を巡らしていく。

     ギィイイイン!!

「(やはり、ただ攻めるだけでは突破できないな)」

「(防御と反撃だけじゃあ、桜さんを捉える事はできないか)」

 一度間合いを離し、互いの様子を探る。

「(さて、どう出るべきか……)」

 初めての膠着状態になる。
 今までは桜がどの状態でも対処出来ていたため、途切れのない攻防が続いていた。
 だが、秋十が“最適化”してから容易に攻める事が出来なくなっていた。
 そのため、間合いを保った状態で互いに様子を見る事になったのだ。

「(いくら捉えられないといっても、俺から攻撃しては隙を晒すだけだ)」

「(秋十君から攻撃する事はほぼ確実にないだろう。だとすれば、俺から攻めるしかない)」

「「(だとするならば……!)」」

 二人は同時に思考し、結論を出すと共に行動を開始した。

「(反撃してきた上から対処する!)」

「(攻撃してきた所を、敢えて攻撃しに行く!!)」

 ……そして、ついに桜が読みを“外した”。
 それは、天才故の合理的判断から、“小さい可能性”を捨てたためのミス。
 動きを“最適化”させているからありえないと思っていたのが、仇となったのだ。
 秋十は、敢えて最善手ではなく悪手を取ったのだ。

「なっ……!?」

 そして、それは僅かとはいえ桜の動揺を誘い……。

「ここだっ!!」

 一時的に“最適化
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ